全国の市区町村のうち、四月に施行された障害者差別解消法が求めた障害者の相談窓口を設置した自治体は、三割に満たないことが明らかになった。法施行後も差別的な対応が問題になっている中で、多くの障害者にとって相談できる窓口がない状況が続いている。 窓口の名称は「障害者差別解消支援地域協議会」。障害者団体、家族会、医師、学識経験者らで構成し、自治体が事務を担う。設置は義務ではないが、障害者の相談に応じるほか、法律の啓発を進める。 法律を所管する内閣府が施行半年後の十月一日現在でまとめた結果、全国千七百四十一市区町村のうち、協議会を設置したのは五百七だった。来年四月までの新たな設置予定も調べたところ、二百十五にとどまった。施行一年を迎えた段階でも、四割までしか設置が進まないことになる。 障害者が不利益を受ける問題は法施行後も続き、五月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の男性が国会に参考人として招かれな
日本弁護士連合会(日弁連)は11月16日、電動車いすで航空機に搭乗することを拒否したことは人権侵害にあたるとして、マレーシアの航空会社でエアアジア社の関連会社である「エアアジアX」に11月10日付で警告書を発したことを発表した。 日弁連によると、身体に障がいがあり、電動車いすを利用している日本人男性が2014年3月、関西国際空港発クアラルンプール国際空港行の航空機に搭乗しようとしたところ、同社の係員から重量制限を理由に車いすの預かりを拒否され、航空機に搭乗できなかった。 航空券を予約する段階で電動車いすの情報を伝えていたが、その段階では何も注意はなかった。また、男性はこれまでも他の格安航空会社(LCC)をよく利用していたが、車いすの持ち込みを拒否されたことはなかった。その後、男性は日弁連に対して人権救済の申し立てをおこなった。今回の警告書はその申し立てに基づくものだ。 日弁連は、エアアジア
車いす利用者のためにかさ上げされた都営大江戸線のプラットホーム。ホームと車両の間にほとんど段差がなく、隙間も少ない=東京都新宿区の都営大江戸線都庁前駅で ホームかさ上げ、介助不要 最近、車いす利用者の鉄道利用はどの路線でも当たり前になった。だが、大部分の駅で、利用者は駅員の介助を受け、プラットホームと電車に渡し板を渡してもらって乗降している。いちいち駅員に頼むのは面倒だし、気持ちの上でも負担だろう。そんな中で障害者から「地下鉄大江戸線はいいですよ。介助なしで乗り降りできる」と聞いた。なぜ大江戸線は介助が不要? 駅で確かめてみた。【西尾英之】 JR山手線と並び、東京都心部をぐるっとひと回りする環状部と、練馬区へ延びる“ひげ線”部から構成される都営地下鉄大江戸線。経営する都交通局がある都庁のお膝元、都庁前駅で、お願いして車いすでの利用を体験した。
障害者政策を検討するために厚生労働省が11日に開いた会合に、委員として招かれた障害のある男性1人が参加できなかった。男性は車いす利用者で、会場に入るのに必要な階段の上り下りができないため出席を断念。厚労省は不手際を認め、男性に謝罪した。 会合は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の障害者部会で、東京都千代田区内の民間の貸し会議場で開かれた。会場は中2階で、玄関から階段を40段上がる必要があり、エレベーターで2階まで上がると15段下がらないと入れない。 男性の介助人が先に会場に到着して会議場までのルートを確認。男性が利用している電動車いすの重さは100キロほどあり、誰かに手伝ってもらって持ち上げることは危険だと判断した。介助人は男性に事情を連絡し、会場に向かう途中だった男性が出席を断念して引き返したという。 厚労省の担当者は「同じビルの別の部屋で会合を開いたこともあり、まさかバリアフリーになっ
3日で公布から70年となる憲法について、障害がある人たちが今後も大切にしたい憲法の理念などを訴える集会が都内で開かれました。 この中で、全盲の内田邦子さんは「すべて国民は個人として尊重される」とうたった13条を挙げながら、「障害者は戦前、『国のために働けない』と差別されていたが、この条文で私たちも平等だと定められた。これからも目が見えなくても安全に暮らせる社会を求めていきたい」と述べました。 また、原因不明の強い疲労感に襲われる筋痛性脳脊髄炎で寝たきりの篠原三恵子さんは「私たちの病気は難病に指定されておらず、支援が限られているうえ、周りから『怠けている』と誤解されてしまう。憲法97条にある基本的人権の理念を国民全体で守っていってほしい」と訴えました。
バリアフリー法に基づくバリアフリー化の進捗状況について (公共交通事業者等からの公共交通移動等円滑化実績等報告書の集計結果概要(平成27年度末) 平成28年11月1日 国土交通省ではこの度「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)に基づく公共交通事業者等からの移動等円滑化実績等報告書の集計結果(平成27年度末時点)をとりまとめましたのでお知らせいたします。 平成27年度末時点の進捗状況については、旅客施設においては段差の解消が昨年度より約1.3ポイント増加、車両等においては鉄軌 車両が約3.2ポイント増加するなど着実にバリアフリー化は進んでいます。 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則」第23条に基づいて公共交通機関等は国土交通大臣に対し、旅客施設及び車両等のバリアフリー化の状況を報告することとされています。この度、公共交通機関等から提
国土交通省は、バリアフリー法に基づくバリアフリー化の進捗状況を公表した。 2015年度末時点で、バリアフリー法に基づく公共交通事業者からの移動等円滑化実績等報告書の集計結果をとりまとめたもの。 2015年度末時点の進捗状況によると、車両では鉄軌道車両が前年度末より1.3ポイントアップの86.1%となった。ノンステップバスは3.2ポイントアップの50.1%、リフト付バスが0.3ポイントアップの5.9%だった。 福祉タクシーは382台増えて1万5026台となった。 旅客船のバリアフリー率は4.4ポイントアップの36.6%、航空機が1.7ポイントアップの96.3%と、車両は着実にバリアフリー化が進んだ。 旅客施設は段差の解消が前年度より約1.3ポイントアップして86.1%となった。 《レスポンス編集部》
総務省は、出歩くのが困難な高齢者らが各種の選挙で投票しやすいようにするため、有識者による検討会を設置して、現在、寝たきりなど、要介護度の重い人らに限って認めている「郵便投票」の対象の拡大に向けた議論を始める方針です。 ただ、郵便投票の対象になっていない要介護4以下の人の中にも、出歩くのが困難な高齢者ら、投票所に出向いて投票するのが難しい人もいることから、総務省は、選挙制度や福祉・医療に詳しい有識者らからなる検討会を設置して、郵便投票の対象の拡大に向けた議論を始めることになりました。 郵便投票をめぐっては、「自宅で投票するので投票の公正さを確保するのが難しい」という指摘もあり、新たに設置される検討会では、対象の拡大だけでなく、公正さをどう確保するかも検討課題になる見通しです。
国土交通省は、交通バリアフリー基準とガイドラインの見直しについて検討を開始すると発表した。 公共交通分野のバリアフリー水準底上げを図るため、旅客施設、車両のバリアフリー設備を検討する。例えば鉄道駅の旅客施設におけるバリアフリートイレ、鉄道車両における車椅子スペースのあり方などについて。 公共交通機関の旅客施設や車両のバリアフリー化を図る際、義務基準を定めた「移動等円滑化基準」(交通バリアフリー基準)は、2006年の施行から約10年が経過した。この間、高齢化が進展したほか、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「Tokyoアクセシビリティ・ガイドライン策定」の動き、障害者差別解消法の施行、訪日外国人数の増加など、バリアフリー・ユニバーサルデザインを取り巻く環境は大きく変化している。 今回、こうした状況の変化を踏まえるとともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーと
駅でエレベーター(EV)を5回も乗らないと電車を乗り換えられないのに「バリアフリー対応」なんて!?――。車いすの男性が9月、不便な駅のあり方に一石を投じようと、「移動の自由」を求めて鉄道会社を訴えた。バリアフリー法施行から10年。なお残る課題を考えようと、近く勉強会を開く。 大阪市のJR京橋駅。大阪環状線外回りホームからJR四条畷方面行き学研都市線ホームへ続く下り階段を見つめ、車いすの宮崎茂さん(51)=大阪府大東市=は言った。「健常者なら十数秒で降りられるのに」 アテトーゼ型小児脳性まひで筋肉が緊張し、手足がこわばる宮崎さんは、全介助が必要な重度障害者。講演などで出かける際に京橋駅はよく使うが、対面型のホームが立体的に交差する同駅では、階段の数に比べてEVが少ない。 記者は今月、介助者に車いすを押してもらう宮崎さんがたどる順路を同行した。ホーム端のEVで北口改札に降り、別のEVで大阪環状
吃音への公的支援について理解を深めた講演会=東京都北区で2016年10月22日午後1時30分、遠藤大志撮影 言葉の出にくい吃音(きつおん)を抱える人の支援について考えようと、「国際吃音啓発の日」の22日、東京都北区の赤羽北区民センターで講演会が開かれ、参加した約40人が公的支援の現状などを学んだ。 自助グループ「東京言友会」と「千葉言友会」が主催し、講師に厚生労働省の日詰正文・発達障害対策専門官を招いた。 日詰専門官は、国は世界保健機関(WHO)の国際疾病分類に準じ、吃音を精神障害者手帳の交付対象となる発達障害に分類していると説明。「吃音は本人の努力不足が原因ではない。(手帳取得は)支援が必要な当事者にとって重要な後押しになる」と強調した。
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