訳出が待たれていたエリック・エバンスの「ドメイン駆動設計(Domain-Driven Design、略してDDD)」の日本語版が出版された。私自身はオージス総研さんによる抄訳「DDD難民に捧げるDomain-Driven Designのエッセンス」を読んだだけで原著も訳書も読んでいないのだが、これを機会にDDDに対する私の考えをもう一度書いておきたい。これは前回記事「『プログラミングへのこだわり』を方向づける」で述べた主張を、視点を変えて再度説明したものでもある。 domainという言葉には日本語の「問題領域」が当てられることが多いが、そもそも多義的というかいろいろな文脈で利用できる用語だ。数学では関数の「定義域」を意味し、これに近い用法が、DB設計において「日付」、「数量」、「金額」、「区分」等のデータ項目のカテゴリーを意味する使い方だ。その後、ネットワーク用語やソフトウエアの適用分野等