尖閣諸島問題を契機とした中国による禁輸騒動は、日本のモノ作りに必要なレアアースを中国1国に依存する怖さをあらためて浮き彫りにした。中国が持つ“武器”の威力と、そのしたたかな狙いとは――。 「レアアース(希土類)がどの部品にどれだけ使われているかを詳細に調べて、1週間以内に報告してほしい」――。トヨタ自動車は9月中旬、取引先各社に緊急調査を要請した。直後にはホンダも同様の調査を開始。自動車メーカーから命を受けた納入企業の調達担当者らは、下請け、孫請けなどからも詳細な情報を集めるなど対応に追われた。 レアアースとは、ネオジム、セリウム、ランタンなど流通量の少ない17種類の鉱物の総称。金属に混ぜると強度、耐熱性など素材の性能を高める効果があり、添加物として使われるケースが多い。モーターに必須の永久磁石をはじめ、液晶基板用ガラスの研磨剤、光学レンズ、UV加工ガラス、排ガス浄化用触媒など幅広い用