福島第一原発事故で、放射能汚染が原発から北西方向を中心に広がると、原発2号機が破損した当日の3月15日時点で政府は予測していた。この方向にある福島県飯舘村など5市町村の住民に避難を求めると、政府が発表したのは4月11日で、結果として対応は後手に回った。 文部科学省と原子力安全・保安院が5月3日夜から公開を始めた「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」の試算結果からわかった。 3月15日午前6時すぎに原発2号機の圧力抑制室が破損。約3時間後に正門付近で、放射線量が1時間あたり10ミリシーベルト超まで急上昇した。保安院は破損の影響を調べるため、同日午前7時前に試算した。 それによると、同日午前9時から24時間後までの間に、原発を中心にした単純な同心円状ではなく、とくに北西方向に汚染が流れていくことが予測された。こうした汚染の傾向は、福島大などによる実測値でも裏付けられている。