「ボーナスのカットで住宅ローンを返せなくなった」、「ある地方銀行では、住宅ローンの延滞が増えていることが問題になっている」といった話がささやかれ、日本でも住宅ローンの返済が滞る事例が増えてきたといわれています。 米国のサブプライムローン問題がリーマンショックのきっかけであったように、住宅ローン問題は、個々の家計だけでなく、金融システム、経済全体にも大きな影響を及ぼす可能性があります。 今回は、日本では住宅ローンの延滞状況の全体像を把握できないという重要な問題を指摘した上で、日本で住宅ローン問題が深刻となる可能性について、家計と金融システムの2つの面から考えていきたいと思います。 確認できるデータがない日本の住宅ローン延滞状況 日本では、どの程度住宅ローンの延滞が増加しているのか、それは金融システムや経済全体の動きに影響を及ぼす程度なのかなど、問題の大きさを把握することは容易ではありません。