【解説】米ハーバード大学のJ・マーク・ラムザイヤー教授は沖縄に関する論文で、自説を裏付けるため研究書ではない差別主義者の著書を多用した。結果、沖縄に対する差別はないものとされ、問題は日本の側ではなく沖縄内部にあるとの結論が導かれている。学問の装いで差別を補完、強化する責任は大きい。(編集委員・阿部岳) 論文は例えば「本土の大半が飢餓を辛うじて免れていた終戦直後、米軍は沖縄の人々には気前よく大量の牛肉など食料を配布した」と記述する。実際には沖縄の収容所では栄養失調で亡くなる人が続出した。 この記述の引用元は「沖縄を本当に愛してくれるのなら県民にエサを与えないでください」(渡邉哲也氏、惠隆之介氏著)という対談本だ。ラムザイヤー氏はこの本をたびたび引用しながら参考文献に含めず、沖縄差別があらわな書名を明示しなかった。恣意(しい)的な引用はほかにも多く、研究倫理上の問題がある。 参考文献には「在日