「日本の薬学教育―医療の質を高める薬剤師を」という本がある。 著者は林一、共立薬科大学(現慶応大学薬学部)において、物理学を教えていた教員だ。 曰く、 「薬剤師の仕事はおろか、薬の研究すらしたこともない教員が、薬の学を教えている」 「アリバイ的に抗腫瘍活性とか抗菌作用とかいう言葉をちりばめているが、よく読むと、薬とは何の関係もない論文が量産されている」 「薬学部とは、いわば、空気力学を教えて、操縦法を教えないパイロット養成所である。教官は飛行機に乗ったこともない」 薬学部は、実験科学の研究教育機関としてなら、それなりに見るべきものがあるのだが、職業教育機関としては論外である。薬剤師の仕事とは、何の関係もないことを、平然と講義し、実習させている。 かつて、私(井上)は、薬学部教員や薬剤師に、 「薬学部での教育って、薬とは無関係なことが多いけれど、仕事に役立っているか?たとえば、膨大な時間をか