近年新しく「うつ」と呼ばれるようになった病態(第5回参照)の中には、リストカッティング(手首自傷)などの自傷行為や、過食・嘔吐などの摂食障害を伴うタイプも存在します。 そのような病態では、パーソナリティの基盤となる「自己愛」の部分に問題を抱えていることが多く、通常行われているような休養や薬物療法中心のアプローチでは解決が困難で、適切な治療に出会えずに経過が長引いてしまっているケースも珍しくありません。 今回は、こういった自傷行為や過食といった現象がなぜ起こるのか、また、そこから読み取るべきメッセージは何かといったことについて、考えてみたいと思います。 自己破壊ではなくリセットが目的だった 自傷行為や過食は、その行為自体が奇異で自己破壊的に見えるために、周囲からはネガティブなものと捉えられ、専門家による治療の場面でさえも「今後は決してしないと約束して下さい」と言われてしまうことがあるようです
