――今日は「山形浩生はいかにして作られたのか」と題して、山形さんの読書遍歴について伺いにきました。まず、ご自身大きな影響を受けたと公言している橋本治さんの本はいつごろから読み始めたんですか? 中学生のときですね。学校帰りに古本屋に立ち寄って、マンガを次々に読んでました。『ゴルゴ13』を読んで、『キャンディ・キャンディ』読んで、あれ読んでこれ読んでと。そのうちに、ほぼ読み尽くしてしまい、残っていたのがマンガ評論モノ。そこで『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』を立ち読みしたのが最初です。「こんなふうな物の書き方があるんだ」っていうのが驚きでしたね。無茶苦茶に緩くしてみたり、妙にまわりくどい言い方でしつこく同じことを言ったり。マンガの話だけでおしまいにならずに、それが読む側の問題に具体的に関わってくるんだという提示の仕方も、非常に目新しかった。 ――それから追っかけるようになったんですか?