養父市の山田風太郎記念館に昨年末、遺族から寄贈された新資料の中に、風太郎が同人となった探偵小説研究誌「鬼」があることがわかった。非売品のため、入手が難しく、「山田風太郎の会」の有本倶子さんは「ずっと探していた冊子。大変貴重な資料といえる」と話している。 「鬼」はB5判、約20ページの小冊子で、昭和25年に風太郎や高木彬光、島田一男、香山滋ら同世代の探偵小説の作家らが同人になって創刊。題字の「鬼」は江戸川乱歩が揮毫(きごう)した。毎号何部を発行していたかは不明だが、創刊号を除く9号までが見つかった。 編集は持ち回りで、風太郎は6号(27年3月発行)の編集を担当。乱歩や横溝正史、彬光らに執筆を依頼し、内容が充実していることで知られている。 風太郎の「本格探偵小説は初期の作品ほど優れていて、作家が年をとるに従って駄目になる傾向があるというが、それは本当だろうか」と問いかける原稿依頼を受け、乱歩は