特別定額給付金の10万円を受け取れていない男性(52)。申込期限が迫り「国や自治体は時間切れを待っているように思える」と話した=JR新宿駅近くの地下道で2020年8月7日午後11時6分、黒川晋史撮影 新型コロナウイルス対策として国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」が、各自治体で申請期限を迎えつつある。安倍晋三首相は4月の記者会見で「全ての国民」を給付対象にすると表明したが、多くのホームレスは受給できていない。二重支給を防ぐなどの理由から、住民登録が要件となっているためだ。「私たちは国民ではないのか」。当事者からは、諦めや怒りの声が上がる。 「10万円があれば、もっと違う生活が送れたなあ」。東京・新宿駅西口の商業ビル前に寝泊まりする男性(68)はつぶやいた。 秋田県出身。仕事を求めて約20年前に上京したが、定職につけず、10年ほど前から路上で暮らす。建築現場の日雇いの仕事が減る中、