日本企業の最先端技術が中国に狙われている実態を裏付ける事件が後を絶たない。10月には、軍事転用の恐れがある東レの炭素繊維が不正に中国に持ち出された疑惑が浮上した。スパイ行為を包括的に取り締まる法律のない日本は「スパイ天国」と揶揄(やゆ)されるが、手をこまねいていれば、中国は非合法に手に入れた技術で軍事や経済を発展させるだけでなく、日本発の技術をも沖縄県・尖閣諸島のように公然と所有権を主張しかねない。(松岡達郎 藤原章裕)米戦闘機に使われる先端技術が流出 「かなり悪意を持ってやられた」 7日の決算会見で、東レの田中英造副社長は苦渋の表情を浮かべた。 関係者によると、中国の軍事関係者が東レの最先端の炭素繊維を入手するよう大阪の商社に依頼。この商社に依頼された静岡県内のベンチャー企業が東レの子会社に「水素発生装置のボディーに使う」と虚偽説明を行い、平成21年にサンプル約1キロを確保し、経済産業省