ときには、これまでの農業経営の枠を超えて大きなことを考えてみよう、というのが今回のテーマだ。 農業を成長産業にすると言うとき、なにをイメージするだろう。食べた人が思わずうなるおいしい作物をつくることだろうか。それとも、途方もなく大きい農場をつくることだろうか。どちらの意義も否定はしないが、個々の農場の味と規模にフォーカスするだけでは、ふつうの産業で競争力をはかる際の尺度にはたどりつけない。「シェア」だ。 そこで今回は、農業でついにシェアを意識する経営が登場したことを取り上げたい。それは、「天候に収量が左右されて不安定」という農業の宿命とも言うべき課題へのチャレンジでもある。九条ネギというブランド作物を武器に、この難題に挑んでいる会社は、連載でもかつて紹介したことのある、こと京都(京都市)だ(2014年5月16日「農業を救うのは『土』か『机』か」)。 「うちが買う単価まで努力できるのか?」