全原発を止めて電力料金の高騰を招いた田中私案 電力料金は高騰し続けている。その一方でかつて9電力と言われた大手電力会社は軒並み大赤字である。 わが国のエネルギー安定供給の要は原子力発電所であることは、大規模停電と常に隣り合わせの現状とロシアのウクライナ侵攻によって化石燃料価格が高騰していることも併せて、誰の目にも明らかになった。しかし、原子力発電所の再稼働は遅々として進んでいない。 諸悪の根源は、2013年4月に発出された〝田中私案〟にある。この「田中」とは、初代原子力規制委員長の田中俊一氏のことだ。本来ならば、運転しながら追加的安全対策やテロ対策といわれる特定重大事故対処施設を建造すればよかったのである。ところがこの私案によって、全国の原子力発電所は有無を言わせず停止に追い込まれた。そして長くて険しい安全審査の道を歩むことを強いられたのである。 当初、再稼働への適合性審査に要する時間は半