2023年1月、福岡市のJR博多駅近くの路上で川野美樹さん(当時38)が刃物で複数回刺され死亡する事件が起きました。 その後、逮捕・起訴された元交際相手の寺内進被告(32)の初公判が2024年6月17日に福岡地裁で開かれ、被告は「刺したことは間違いないですが待ち伏せしたことは違います」と殺人罪については認め、ストーカー規制法違反の罪については否認しました。 弁護側は「待ち伏せした事実はありません」「恋愛感情はすでに失っていて、それに対する怨恨はない、ストーカー規制法については無罪」と主張しました。 この記事では、法廷内で読み上げられた遺族の手紙、検察による求刑の理由などについて、4回目(6月21日)、5回目(6月24日)の公判の詳細を、TNC裁判担当記者のメモをもとに詳しく伝えます。 <裁判メモ(2)からの続き> ◆川野さんから“ごめんなさいを聞きたかった” 6月21日、4日目の公判。まず
2016年8月21日名古屋で12歳の中学受験生・佐竹崚太くんが父親に包丁で胸を刺され死亡した事件で、2019年7月19日名古屋地方裁判所は、父親の佐竹憲吾被告(51)に殺人の罪で懲役13年の実刑判決を言い渡した。 佐竹被告は自分と同じ私立中高一貫校に合格させるため、日ごろから息子に暴言を浴びせ、暴力も加え、さらには刃物で脅してまで勉強をさせていた。 名門進学校一家の親子3代にわたる闇 名古屋地方裁判所での公判で佐竹憲吾被告は、事件当日も包丁で息子を脅していたことは認めたが、殺意は否定。包丁が息子の胸に刺さってしまったいきさつについては「覚えていない」とくり返した。 論告求刑で検察側は、「思い通りに勉強しない崚太君の言動が気にくわないと考え、怒鳴り、暴力を加え、脅すなどの行為を長期間くり返し犯行におよんだ。『教育』の名を借りた『虐待』といえ、身勝手な行動の末の犯行」と被告を非難した。 中学受
去年8月、東京・足立区に住む男性が寝込みを刃物で襲われた。男性は抵抗し、命を落とさずに済んだ。3カ月後、この男性の妻が、「SNSを通じて雇った男らに夫を殺させようとした」として逮捕、起訴された。裁判で妻は「夫の殺害を依頼したことはない」と否認した。 誰かに頼んで夫を殺させようとするなどという、映画のような話が本当にあるのか。裁判担当の私は、法廷に足を運び、それを確かめようとした。 公判で注目されたのは、「復讐代行屋」という言葉。そんな世界が本当にあるのか。裁判の行方を追った。 (テレビ朝日社会部司法担当・島田直樹) ■SNSをきっかけにした事件 瀧田深雪被告(45)は去年8月、SNSで依頼した実行役2人と共謀し、東京・足立区の自宅で寝ていた夫(45)の左胸をサバイバルナイフで突き刺し殺害しようとした罪で起訴された。 事件から1年以上たった今年10月、裁判員裁判が東京地裁で開かれた。裁判が始
差別感情に基づき、在日コリアンの人々が集住する京都・ウトロ地区や、名古屋市の韓国学校などを狙い、22歳の男が起こした連続放火事件。 有本匠吾被告の第3回公判が6月21日、京都地裁(増田啓祐裁判長)であった。被害者側の意見陳述があったほか、検察側は懲役4年を求刑。弁護側は情状酌量を求め、被告人も最終意見陳述を行い、結審した。 検察が求刑に向けて意見を述べる論告では、「嫌悪感」や「偏見」という言葉はあったものの、「差別」そのものは用いられなかった。 また、被告人から反省や謝罪の言葉は一切なく、同種のヘイトクライムが今後も起きると予告する発言もあり、被害者からは不安や怒り、落胆の声があがった。 この日の裁判で検察側は、被告が在日コリアンに対する「嫌悪感」から犯行に及んだものであり、「身勝手、釈明の余地はない」と非難した。 自らの「偏見」や「思い込み」に基づき、職を失った「憂さ晴らし」や社会から注
”妻を殺害した”として夫の出版社元社員に有罪判決が言い渡された裁判。被告は今も無実を主張しています。決定的証拠はなく間接証拠で争われた裁判の争点を解説します。
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北九州市の特定危険指定暴力団「工藤会」が合わせて4人の市民を拳銃や刃物で襲って死傷させた事件で、殺人などの罪に問われていた組織のトップに対し、福岡地方裁判所は「首謀者として関与していて極刑を回避すべき特段の事情は見いだせない」などとして死刑を言い渡しました。指定暴力団のトップに死刑判決が言い渡されたのは初めてとみられます。 特定危険指定暴力団「工藤会」は平成10年から26年にかけて北九州市や周辺の地域で漁協の元組合長を射殺したほか、元警察官や看護師ら3人を拳銃や刃物で襲う事件を相次いで起こしました。 警察は「壊滅作戦」と呼ぶ徹底的な取締りを行って組織のトップで総裁の野村悟被告(74)を逮捕し、検察は殺人などの罪で起訴しました。 これまでの裁判では「トップの指示があったかどうか」が争われ、実行役への指示などを示す直接的な証拠がない中、検察は被告が犯行の首謀者だとして死刑を求刑したのに対し、被
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Published 2021/03/15 10:30 (JST) Updated 2021/03/15 22:07 (JST) 医者になるよう強く要望した母親を殺害し、遺体を損壊、遺棄した長女の裁判があった。9年間の浪人生活を送り、母の異常な干渉で追い詰められていた被告を、判決は「同情の余地がある」と判断した。教育を理由に、親が子どもに無理難題を強いる「教育虐待」が社会問題になっている。教育虐待がエスカレートし、行き着いた悲劇的な結末。親子の間に一体何が起きていたのか。公判では長年にわたる異常な生活状況が浮かび上がった。(共同通信=斉藤彩) ▽勉強強いられ束縛の日々 2018年3月、桐生しのぶさん=当時(58)=の切断された遺体が滋賀県内の河川敷などで見つかった。県警は同年6月、大学病院で看護師として働き始めていた31歳の長女のぞみ被告を死体遺棄、損壊容疑で逮捕、9月には殺人容疑で再逮捕し
横浜地裁 「自分が許せず、全て終わらせようと考えた」 2019年6月、川崎市宮前区の自宅で殺害した妻の遺体を切断して海に遺棄したとして、殺人などの罪に問われた無職の男(27)の裁判員裁判。29日の第2回公判の被告人質問では、自らの失態をとがめた妻に殺意を抱くまでの経緯を被告が説明した。 被告によると、入籍前に仕事を辞めた被告はそのことを秘すため、出勤を装って外出する生活を送った。「みっともない姿を見られたくなかった。嫌われてしまうと思った」。生活費を工面するため借金を重ね、妻のクレジットカードにも手を出すようになった。 その後再就職したが、事件の1週間前に預金の使い込みが妻に露呈。被告名義のカードを預けるよう求められ、念書も提出する事態に。さらに事件前日には一時期無職だったこと、入籍時の祝儀を使い込んだことも被告が打ち明けた。「今まで向けられたことのない厳しい目」で妻は、普段使わない「あん
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