10代だった時の男の夢は、幹部自衛官になることだった。 50年前の1972年2月、長野県軽井沢町にある「あさま山荘」に人質を取って立てこもった連合赤軍メンバー、当時25歳の坂東国男容疑者だ。3年後、日本赤軍がマレーシアの米大使館を占拠したクアラルンプール事件で人質交換による超法規的措置で出国。山荘に籠城した5人の中でただ1人、今も逃亡している。 京都大在学中に、武装闘争による革命を目指して赤軍派に入り、その後連合赤軍を結成。日本を離れた後は日本赤軍に合流してパレスチナ闘争に加わった。武闘派として知られ、連合赤軍時代には「同志粛清」に手を染めた。そんな「革命戦士」の意外な一面を私が知ったのは、警視庁公安部の担当記者だった19年前、坂東容疑者の母との出会いが契機だった。(共同通信=三井潔) ▽そっくりな両目 小雪が舞う冷え込む冬の夜だった。大津市にある坂東容疑者の実家に、当時80歳で1人暮らし