「技術に強い」会社が陥った盲点 今回の事案で、注目したいのは被害の構造だ。 適時開示には「当社の従業員のアカウントより、当社の銀行預金口座から外部の口座への送金が実行された」とある。つまり、外部からシステムに不正侵入されたわけではない。悪意ある第三者から虚偽の送金指示を受けた従業員が、自らの手で送金操作を実行したのだ。 IT企業は、Webサービスの脆弱(ぜいじゃく)性やサーバへの不正アクセスに対して、非常に高い水準のセキュリティを構築している。多要素認証も、チーム全体で暗黙知を共有する「コードレビュー」も当たり前だ。ところが「お金を動かすプロセス」については、驚くほどアナログで、属人的な運用が残っている場合も多い。 エンジニアリングには「バグを許さない」文化がある。しかしバックオフィスのワークフローには、その厳しさが及んでいない場合がある。デジタルサービスを事業の核とする企業が、内部統制に

