北森嘉蔵牧師、あるいは北森嘉蔵教授、北森嘉蔵博士、北森嘉蔵先生。いろんな呼び方をできるお方ではありますが、それも全部包括して教会における葬りの式では北森嘉蔵牧師と呼ばせていただきたいと思います。 北森嘉蔵牧師は式次第の後ろに載っております略歴でご覧いただきますように、1916年、82年前に熊本にお生まれになり、旧制の第五高等学校を卒業なさった後に、ルーテル神学校に学びました。第五高等学校に入学されました時に、北森牧師は初めて聖書と出会うわけであります。16歳の頃であります。16歳の北森少年が聖書を読み始めた動機は、人生における偶然性という事柄であった。自分が生まれてきたのも偶然であり生きていくのも偶然であり死ぬのも偶然だ。人生すべて行きあたりばったりだ。何も確かなものはない。この問題にぶつかって北森少年は聖書をひもとくようになったわけです。 そして何一つ確かなものはないというこの偶然性の不