ブックマーク / blog.livedoor.jp/keloinwell (16)

  • Pursuing Big Oceans : 2016年に気になった論文いくつか - livedoor Blog(ブログ)

    明けましておめでとうございます。2017年もどうぞよろしく。業が忙しい時期を迎えていることもあって、ブログの更新は滞りがちなのだけれど、気が向いたら更新していくつもりなので、今後も読んでいただけたら幸いです。 一年の出だしですが、ここでは昨年紹介記事を書こうと思いながらも書けなかった論文を短いコメントと一緒に紹介していこうと思います。あくまで簡単な紹介なので、詳細が気になる方はぜひ論文を読んでみてください。 では、以下に書いていきます。ある程度吟味したんだけれど、それでも長くなってしまった。 RNA修飾の解析 先日、Nature Methodsでも2016年のMethods of the yearにも選ばれていたEpitranscriptomeの解析はとても印象に残った。次世代シーケンサーの技術革新によって、今まで観察することのできなかったRNAの修飾を今までよりも容易に観察できるように

  • Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方:まとめ - livedoor Blog(ブログ)

    前3つのエントリーで、生命科学の研究と向き合う時、どういう考え方ができるかという私見を書いてきた。 → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方1「論理:アブダクション」 - livedoor Blog(ブログ) → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方2「着眼点:ティンバーゲンの4つのなぜ」 - livedoor Blog(ブログ) → Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方3「手法:4つの動詞」 - livedoor Blog(ブログ) 最後に3つのエントリーを総括して、改めて考え方を順を追って、書いてみようと思う。 生命科学研究を行うときの考え方 ① 先行研究をよく読み、「ティンバーゲンの4つのなぜ」で挙げた4領域において、研究対象についてどんなことが明らかになっているのかを調べる。研究対象としなくて

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  • Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方3「手法:4つの動詞」 - livedoor Blog(ブログ)

    前のエントリーで「ティンバーゲンの4つのなぜ」にしたがった、生物学的視点に基づく研究の枠組みを紹介した(参考)。次はこの枠組みに沿って、具体的な実験系を立てることになる。第三弾のこのエントリーでは、実験系を立てる時にどういう考え方ができるか、という話をしてみる。 生命科学の実験系は4つの動詞でまとめられる これは昔授業を受けた、ある先生からの受け売りなのだけど、生命科学の実験系は4つの動詞でまとめることが出来る。その動詞とは、以下の4つ。 増やす 減らす 変える 見る 「増やす」と「減らす」は、量を「変える」ことなので、大雑把には2つの動詞で済んでしまうけれど、「増やす」と「減らす」は「変える」とは若干意味合いが異なるのと、生物系の研究では頻繁に使われるので、ここでは別の動詞とした。 この4つの動詞を分子生物学で使われる具体的な手法に当てはめると、こんな実験手法が挙げられる。 増やす・・・

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  • Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方2「着眼点:ティンバーゲンの4つのなぜ」 - livedoor Blog(ブログ)

    1つ前のエントリーで実験科学に用いられる論理として、アブダクションの話をした(参考)。繰り返しになるが、アブダクションとは、1.仮説を立て、2. データを取り、3. 仮説との比較を繰り返すことによって、推論していく論理のことだ。 続く第二弾のエントリーでは、最初の仮説をどのようにして立てるのか、という話をしようと思う。ここは正直難しいところではあるし、うまく体系立てて書けるか不安なのだけど、生命科学研究のスタート地点を見つける手助けとして、「ティンバーゲンの4つのなぜ」を紹介したい。 「ティンバーゲンの4つのなぜ」とは? 「ティンバーゲンの4つのなぜ」はオランダの動物行動学者ニコ・ティンバーゲン(参考)にちなんで名付けられた、「なぜ生物がその機能を持つのか」という疑問に対する解答を4つの領域に分類したものだ。生物研究の4領域と言ってもいいかもしれない。 その4つの領域とは以下の通り。 至近

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  • Pursuing Big Oceans : 生命科学研究での考え方1「論理:アブダクション」 - livedoor Blog(ブログ)

    生命科学の研究と向き合う時にどのように物事を考え、どのように研究を進めていくか。 この問いに答えるのはとても難しい。研究内容や研究対象といった科学的事柄についてはきちんと体系化され、知識としてまとめられている反面、一段階上の研究手続きや考え方といったものはあまり体系化されていないからだ。研究室内で一子相伝よろしく、直属の上司から教わる形で伝わることがほとんどであり、おそらく研究室や研究者によって千差万別なのだろう。 そこで、生命科学研究における考え方について、自分なりに思索したものを4つのエントリーに分けて、書いてみようと思う。ただ、あくまで一個人の私見であるので、参考程度にしてほしい。 第一弾となる、このエントリーでは、全ての考え方の基となる「論理」の話からしていく。 論理の種類 実験科学で用いられる論理には大きく分けて、3つの種類がある。演繹、帰納、そしてアブダクションの3通り。 演

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  • Pursuing Big Oceans : 私の研究理念 - livedoor Blog(ブログ)

    ここしばらくブログを書くまとまった時間が取れなかったので、Twitterで呟いてから、だいぶ間が空いてしまいました。というか、もう1週間経ってしまったので、さすがにそろそろ書くのを躊躇う感じがありますが、日に残してきた筆頭著者の論文がようやく世に出ました。 → Yeast Osmosensors Hkr1 and Msb2 Activate the Hog1 MAPK Cascade by Different Mechanisms -- Tanaka et al. 7 (314): ra21 -- Science Signaling このブログは一応匿名でやってきたのですが、せっかくブログが有るのだから何か自己紹介的なものを書いてみようと思います。最初は丁寧な論文解説も考えたのですが、今回はそうした専門的な話はしません(興味のある方はTwitterにいるので、いつでも話しかけてください)

  • Pursuing Big Oceans : ORIみたいな論文不正告発の公的窓口があってもいいと思う - livedoor Blog(ブログ)

    いちいち例を挙げる事はしないけれど、ここ数年、かなり重大な論文不正が相次いで報告されているように思う。こうした事例の経過を見るにつけ、気に掛かるのは、怪文書に近いようなブログエントリーや週刊誌などのマスコミへのリークをきっかけとして問題が明らかになることが多いことだ。 捏造が悪しきことであることは明白だけれど、あら探しのような捏造探しも良い行動とは思えない。科学とは知見を提唱し、批判と検証を繰り返しながら積み重ねていく知的活動だ。私達は巨人の肩に立つ小人なのである(参考)。捏造探しとはこうした科学的活動を根から否定する行動であり、とても悲しい気分になる。科学者の良心を信じていたい。 とはいうものの、万が一捏造を見つけてしまった場合、見過ごす訳にいかないのも現実。そして、日で論文不正を告発するには上述の通り、怪文書のようなブログやマスコミを使うしかないのが現状だ。いわゆる私刑だ。また論文

  • Pursuing Big Oceans : STAP細胞に感動した学生は「若手研究者に向けて研究生活とキャリアパス」を読むといいよ - livedoor Blog(ブログ)

    STAP細胞という酸や物理的なストレスを細胞に与えるだけで多能性を獲得するという、衝撃的な研究結果が理化学研究所のグループにより発表されて、話題になっている。ここまで生物観を揺るがすほどの衝撃を受けた論文は久々だ。 理研のプレスリリース(一番わかり易い解説) 体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見 | 理化学研究所 噛み砕いた解説 「ストレスで細胞が初期化」の衝撃 - むしブロ 論文2報 Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency : Nature : Nature Publishing Group Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency : Natu

  • Pursuing Big Oceans : ぽりしすとろん - livedoor Blog(ブログ)

    専門的でマニアックな話になるだろう。先週ぐらいの話になってしまうけれど、いつものように論文を読んでいたところ、ある論文で2A ペプチドによるPolycistronicな遺伝子発現という今まで知らない技術が使われていた。そのことをTwitterに呟いたところ、その技術を使っている方々から多くのフィードバックを頂いた。 2Aペプチドについての情報をインターネットで調べていくうち、英語ではある程度の情報があるのに対し、日語では関連する情報が殆どないことに気付いた。そこでメモ書き程度に、日語で書いておこうと思う。自分がこの技術を実験で使っているわけではないので、きちんとした解説ではない。あくまで、ただ興味があって調べただけなので、細かな部分で誤りがあるかもしれない。もし見つけたら、コメント欄などで指摘してくれると嬉しい。 Cistronとはなにか まず初めにCistronとは何かという話をしよ

    Pursuing Big Oceans : ぽりしすとろん - livedoor Blog(ブログ)
    symphonicworks
    symphonicworks 2013/12/02
    Pursuing Big Oceans : ぽりしすとろん - livedoor Blog(ブログ) 2A ペプチドによるPolycistronicな遺伝子発現
  • Pursuing Big Oceans : 15歳の少年が作った膵臓癌発見の画期的方法について調べてみた - livedoor Blog(ブログ)

    昨日〜一昨日とはてなブックマークですい臓がん発見に関わる画期的な手法を開発した15歳の少年の記事が話題になっていた(参考1、参考2)。 15歳のJack Andraka君は叔父をすい臓がんで亡くしたことをきっかけに、インターネットを通して、すい臓がんについて調べ、すい臓がんの検査が1回800ドルととても高く、また既存の手法では30%のすい臓がんを見逃すことを知る。そこで、Jack君はより手軽な値段で、より優れた新たな手法を開発できるのではないか、と考え、開発に乗り出す。開発の経緯については、彼がTEDで話したトークがあるので、聞いてみるといいと思う。とっても感動的。 ただ、彼が作ったという画期的方法についてTEDの動画を見ても、また話題になっている記事を読んでも、詳細やその学術的背景/立ち位置がよく分からなかったので、インターネットで分かる範囲で少し調べてみた。 Jackくんがすい臓がんの

  • Pursuing Big Oceans : アリの模様を翅に持つハエがすごい - livedoor Blog(ブログ)

    学名はGoniurellia tridens。ラテン語の語彙がそれほどあるわけではないけれど、見た目の通り、the three-in-oneという意味が学名にあるらしい。発見は今から100年ほど前。アラブ首長国連邦で1910年に発見されたハエで(参考)、透明な翅(羽)(注:参考)の中にアリの模様があるのが特徴。このアリの模様、きれいに6足に2の触角を持ち、さらに頭部、胸部、腹部に分かれていて、完璧に昆虫を表現している。[13:53追記 アリではなくJumping Spiderではないかという話もあるようだ] G.tridensは約5000種ほどいるハエ目ミバエ科(tephritidae)のハエの1種で、ミバエ科のハエの多くは、カラフルなカラー/模様を持つことが知られている(参考)。またアラブ首長国連邦にいるミバエ科には、単純なものから複雑なものまで27種類ほどG. tridensのよう

  • Pursuing Big Oceans : RSSは論文チェックに最適だよ - livedoor Blog(ブログ)

    Google Readerが今年の7月1日で廃止になるよう(参考)で、ネットではRSSに関する議論が盛り上がっている。ここではRSSの是非について細かい議論をするつもりはない。大雑把に自分の考えを言っておくと、確かにRSSは一般に普及しなかったが、かといってSNSが代替の情報源になるとは思えない。まずSNSはノイズが多い。また今回のRSSリーダーの廃止は、最初にSNSに情報を流す人の存在を軽視しているように思う。 堅苦しい話はさておき、Google Readerが廃止に決まって、RSS環境の見直しをしている人もいるんじゃないだろうか。せっかくだから論文をチェックするのに、RSSが向いているよ、という話をしよう。俺も最新の論文はLivedoor Reader(参考)を使って、RSSでチェックしている。大学院に入った頃からずっとこうしているので、この環境がなくなったら、論文チェックに困るだろう

    symphonicworks
    symphonicworks 2013/03/15
    RSSは論文チェックに最適だよ
  • Pursuing Big Oceans : 光遺伝学についての覚え書き - livedoor Blog(ブログ)

    今週Yaleにて開かれた、光遺伝学(Optogenetics)に関するシンポジウムで、いくつか偉い先生の講演を聞いたので、光遺伝学についての覚え書きを書き記しておこうと思う。ブログを放置するのも良くないしね。 光遺伝学とは? 元々は、神経回路の機能を調べるために、光学と遺伝学とを組み合わせて発達した研究分野のこと。光遺伝学(Optogenetics)という言葉はKarl Deisserothが2006年の論文で最初に用いたらしい(参考)。一般的に光遺伝学という場合、チャネルロドプシン2やハロロドプシンを神経細胞に発現させ、光を照射することで神経の興奮または抑制を起こす手法のことを指すような気がする。 光遺伝学のさらなる応用 近年は光遺伝学の対象が広がっている。例えば、光の照射によってsmall GTPaseの活性化やタンパク質-タンパク質相互作用を制御するという技術が開発され、これらもOp

    symphonicworks
    symphonicworks 2012/07/02
    光遺伝学についての覚え書き
  • Pursuing Big Oceans : アメリカに行くまでにしたこと - livedoor Blog(ブログ)

    ブログを書くのは久しぶりですね。この3ヶ月、忙しくて忙しくて忙しくて、ブログはおろかTwitterすらまともに書けないという状況が続いていました。近況ですが、明日からアメリカに生活の拠点を移し、Yale universityに留学することになっています。 そこで、自分の経験というか備忘録として、留学先を決め、実際に留学するまでにおこなったことを書き記しておこうと思いました。以下、長たらしい話になるかもしれませんが、気が向いたらご覧下さい。 留学先を決めるまで 留学先を決めるには、留学先の研究内容や上司の紹介などから判断することが多いと思いますが、自分の場合はこれまでやってきた研究内容をより発展させた内容で、研究対象は異なるものの非常に興味深い研究をしている2つの研究室にメールを送りました。 残念ながら、最初にメールを送った研究室からは1ヶ月ほど経った後に、受け入れられないという旨のメールを

    symphonicworks
    symphonicworks 2012/04/10
    以下は主だった海外留学向け助成金の関連ページへのリンク/Pursuing Big Oceans : アメリカに行くまでにしたこと - livedoor Blog(ブログ)
  • Pursuing Big Oceans : 論文がリジェクトされる11の理由 - livedoor Blog(ブログ)

    なお、原文はSan Francisco Editという雑誌に掲載された記事です。右の参照にあるので、よかったらご覧下さい(参照 PDF注意)。 以下は、翻訳になります。 イントロダクション 査読雑誌に投稿された論文は様々な理由によりリジェクトされるが、その多くは回避可能である。 注意しなくてはいけないのは、論文が受理される理由はリジェクトされる理由の鏡像ではないことである。論文が受理される主な理由は、該当分野に対する重要度と貢献度、文章のすばらしさ、そして研究計画の質である。 多くの科学雑誌は、レビュアーに投稿論文の科学的価値と研究の質について調べるように期待している。しかしながらレビュアーは、手の込んだ編集をしないと除けないような言葉の誤りを多く含む原稿に対し、批判的になってしまう。科学系の執筆は、良き科学と良く書かれた原稿の両方を要求する。 投稿論文がリジェクトされる主な理由を以下にま

    symphonicworks
    symphonicworks 2011/06/13
    投稿論文がリジェクトされる理由には大小様々あるのですが、その理由を体系的にまとめた論文(記事?)があったので、勝手ながら日本語に翻訳してみたいと思います。/Pursuing Big Oceans : 論文がリジェクトされる11の理由
  • Pursuing Big Oceans : けろ流コンピテントセル作製法 - livedoor Blog(ブログ)

    コンピテントセル(competent cells)とは、外来DNAを細胞内に取り込める状態になった細胞のこと。通常はDNAに対する膜透過性が増大した大腸菌のことを指しますが、例えば酵母の場合でも、酢酸リチウムなどで膜透過性が増大した状態の細胞をコンピテントセルと呼びます。このコンピテントセルのことを生物系研究業界では通常、頭文字を取って「コンピ」と呼ぶことが多いので、この記事でも以下「コンピ」と呼ぶことにします。 生物系の研究では、遺伝子をプラスミドと呼ばれる環状DNAに乗せた状態で管理することが多いのですが、このプラスミドを増やしたり、またプラスミド上の遺伝子からタンパク質を大量に発現させたりする際に、大腸菌にプラスミドを導入します。この時に、予め作っておいたコンピが欠かせません。 研究費が潤沢にある研究室では、メーカーによって作製されたコンピを購入したり、テクニシャンが作製してくれてい

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    symphonicworks 2011/04/27
    Pursuing Big Oceans : けろ流コンピテントセル作製法
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