マイナス・ゼロ (集英社文庫) 作者: 広瀬正出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/07/01メディア: 文庫購入: 24人 クリック: 146回この商品を含むブログ (138件) を見るタイムトラベルものの傑作。あとがきが昭和45年8月となっているから、もう40年前の作品になるのか。なのに、全然内容は古くなくて、今でも充分面白い。というか、40年前にこれなのか。 主人公が昭和7年の銀座にタイムトラベルしたときの街の描写があまりにもすばらしくて、喧騒の音が聞こえてくるようだった。 聞きなれない音ばかりである。じいさんがうがいをしているときのような、仰山な自動車の警笛。それと同じ目的で、市電の運転手が踏み鳴らす、カウベルに似た、けたたましい音。遠くのほうから聞こえてくるザーッという波の音のようなものが、すり減ったレコードの針音であることは、それにまじってかすかに「影を慕ひて」のメロデ
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