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ブックマーク / kaoriha.org (98)

  • 中里一日記: スーツという宗教

    スーツという宗教 私はについては、書く努力の5倍、売る努力をするということを決めています。 私のような部外者の目には、この発言はきわめてスーツ的に映る。だがその理由はあまり自明ではない。この発言のスーツ性がどのように発生しているのか、そのメカニズムを説明してみたい。 スーツの行動パターン:自分の話の相手が、自分とグルになると決めてかかる スーツ的世界観においては、「パートナー」「ステークホルダー」といった概念が重要だ。つまるところ、経済的利害の共有を中心にした人間関係である。こういう関係をまとめて「グル」と呼ぶことにする。 スーツは常に、自分とグルになる人間を増やそうと務める。グルになる見込みのない人間とは、そもそも話さない。対話の可能性がないので、存在を忘れ去る。こうして生まれるのがスーツなお言葉、「私はについては、書く努力の5倍、売る努力をするということを決めています。」だ。 「書

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    synonymous 2008/02/24
    『貨幣は最強の共通言語のはずであり、スーツは資本主義、市場主義の産物のはずなのに、そのスーツが宗教的な排他性・独善性を帯びるとは、どういうわけか』経済人類学の再興が待たれるところかもしれない
  • 中里一日記: 理解について

    理解について 学校の成績に関する限りはうまくいっていたが、有能な先生の指導にもかかわらず、私は哲学というものを決して「好む」にはいたらなかった。この学問と私の思考法には非両立性が在るようだ。試験ではカントとデュルケイムに関する問題が出題された。私は使っていた教科書はよく勉強していたので、無難な小論文が書けたが、それまでにこのふたりの学者が書いたものを一行も読んだことはなかった。それなのに、私は自分が思ったよりも、はるかに上位の成績がもらえたことが不快だった。 (中略) 自分が話している中身についてほとんど理解していないのに充分やってのけられる学問など、一顧だに価しないと、私には思えたのだ。 『アンドレ・ヴェイユ自伝 上』(シュプリンガー・フェアラーク東京)25~26ページ 逆にいえば、ヴェイユのような数学者は、たとえば高次元の幾何学を、論理的な操作以上のものとして理解できるらしい。想像もつ

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    synonymous 2008/02/22
    アンドレ曰く、『自分が話している中身についてほとんど理解していないのに充分やってのけられる学問など、一顧だに価しないと、私には思えたのだ。』
  • 中里一日記: 笙野頼子『だいにっほん、おんたこめいわく史』(講談社)

    笙野頼子『だいにっほん、おんたこめいわく史』(講談社) 笙野頼子『だいにっほん、おんたこめいわく史』(講談社)を読んだ。 最近、とある早大生と話したとき、笙野頼子で卒論かなにかを書くのだと聞いた。どう切るのかと尋ねると、女性文学やフェミニズムの方面だという。そんなものだろう、と思いつつ、強い違和感を覚えた。笙野頼子をフェミニズムで切っても、笙野のいう「イカフェミニズム」や「学者フェミニスト」を解説する以上のなにができるのか。 それ以来、笙野論の切り口をずっと考えていた。書を読んで、答のひとつが見えた。公共性だ。 例えばお尻マニアの雑誌は一万部売れるという、しかしそれはただの欲望である。自己都合で売れる一万部が、そのまま思想支援の一万人にはならないだろう。無論、お尻の思想というものがあってそのために死ぬ人はいるかもしれない。だがそのような人が切実にお尻を擁護する理論構築をしたとしても、そこ

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    synonymous 2008/02/12
    『欧米の美術界は巨大なエウリアンだ。この事実はぜひ告発しなければならない。』
  • 中里一日記: スーツなお言葉

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    synonymous 2008/02/06
    スイーツなお言葉、かと思った。
  • 中里一日記: フランク・ヴァートシック・ジュニア『脳外科医になって見えてきたこと』(草思社)

    フランク・ヴァートシック・ジュニア『脳外科医になって見えてきたこと』(草思社) フランク・ヴァートシック・ジュニア『脳外科医になって見えてきたこと』(草思社)を読んだ。 医師、それも外科医は体育会系の世界だと聞く。勤務条件が肉体的にハードなせいだろうと漠然と思っていたが、実は体育会というより海兵隊だった。 著者はハートマン軍曹のように率直だ。「また内科のローテーションでは、医師というものに授けられた恐るべき権威を目のあたりにすることになった。他人を――しかも合法的に――侵せるという力。人間の直腸に手袋をはめた指を差し入れ、脊椎に針を押しこみ、結腸にホースを通すことのできる資格だ」(47~48ページ)「わたしはこれからの年月のあいだに、べた物を吐かせたり鼻血を出させたりするどころか、もっとひどいことを――もっとずっとひどいことを――他人の体にするだろう。それでもこのとき、わたしはひとつの里

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    synonymous 2008/01/08
    『回復と死の両方に洗われた心は、本のページの向こうにいてくれるぶんには、たまらなく魅力的だ。目の前にいたらハートマン軍曹のように恐ろしいかもしれないが。』
  • 中里一日記: 難しいプログラミング入門

    難しいプログラミング入門 『やさしいプログラミング入門』といったタイトルのを見るたびに、『鈍才の数学』のことを思い出す。 これは中学か高校のとき教師から聞いた話だ。 かつて、『鈍才の数学』という学習参考書を書いた人がいた。著者がいうには、「天才にとって数学は簡単なので、鈍才が数学に苦しむ理由がわからない。しかし自分は鈍才なので、それがわかる。だから天才よりも私のほうが、鈍才の読者諸君をうまく教えることができる」。納得できる話だ。の内容も大変優れていた。しかし『鈍才の数学』はまったく売れなかった。そこでタイトルを『英才の数学』に変えたところ、ただちにベストセラーになり、数学の学習参考書の定番になった。どうやら、学習参考書を選ぶときに、自分を鈍才と認めることのできる人は少ないらしい。 『やさしいプログラミング入門』には、『英才の数学』的なごまかしを感じる。数学もプログラミングも、ほとんどの

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    synonymous 2007/10/24
    『原理的に異なる2つの領域が混じるときに難しさが発生する。実行順序のある領域とない領域は、片方だけなら易しいが、混ぜると爆発する(式の評価、副作用、半順序)。』
  • 中里一日記: 父の娘たち

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    synonymous 2007/10/09
    『それはもちろん持たざる者のひがみにすぎないのだが、ひがみは逆恨みになり、見当違いの時と場所で噴出する。著者がかねて問題にしている純文学不要論は、そういう逆恨みの噴出のように思える。』
  • 中里一日記: 情けないのはどちらか

    情けないのはどちらか 取調官を監視するために取調室に“防犯カメラ”が設置されたというのでは、あまりにも情けない 国家権力を監視しようとせず、ただ高潔であってほしいと期待するだけの、その水戸黄門根性こそが情けない。

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    synonymous 2007/06/21
    香織派先生に諸手を上げて賛意を表したい。
  • 中里一日記: 安倍首相の憲法観

    安倍首相の憲法観 「憲法は、国の理想、かたちを物語るものだ」 「国家と妄想的に一体化したい」「だから国家は人格的なものであってほしい」という願望を、いまどき恥ずかしげもなく垂れ流すような輩が首相だとは驚いた。 ずっと昔、マダガスカル島の文化を調べたを読んだことがある。たしかウニベルシタス叢書のどれかだ。内容はほとんど忘れてしまったが、宗教的儀式についての記述だけが印象に残っている。それは、男たちが民族の祖先(家族の祖先ではない)を尊んで、祖先と同一化すると同時に、新しい命を生み出す力を憎み貶める、という意味の儀式だった。新しい命は、祖先に背くかもしれない危険分子であり、祖先(および祖先と同一化した男たち)にとっては敵である。 「新しい命は、この祖先共同体を受け継いでくれる存在では?」と思うところだが、それは無神論だ。神が人間に依存しないのと同様、祖先は生きている人間に依存しない。そのため

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    synonymous 2007/05/16
    『「国家と妄想的に一体化したい」「だから国家は人格的なものであってほしい」という願望を、いまどき恥ずかしげもなく垂れ流すような輩が首相だとは驚いた』そしてそれは御祖父さんの相貌を持っているのでしょう
  • 中里一日記: エズモンド・ピット『Javaネットワークプログラミングの真髄』(SoftBank Creative)

    エズモンド・ピット『Javaネットワークプログラミングの真髄』(SoftBank Creative) 書を全人類に薦める。 著者は物のプログラマであり、しかも超一流である。Javaともネットワークともプログラミングとも縁がない人でも、書は必読である。 以下29ページから引用する。 TCP/IPプロトコルとBerkeleyのソケットAPIに関してもっと驚くのは、両者を結び付ける公式のドキュメントがどこにもないことです。つまり、ソケットAPIの何がプロトコルの何に対応するのか、どんな状況で、プロトコルのどの成分をAPIのどの部分が発行したり受け取ったりするのか、…これらが未だにまったく公式に明確になっていないのです。 BSDソケットのはあり、TCP/IPのはある。しかし両者を対応させて書いているはなかった。その理由は、これなのだ。この事実を教えてくれたは、いままで一冊もなかった。

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    synonymous 2007/05/14
    『TCP/IPプロトコルとBerkeleyのソケットAPIに関してもっと驚くのは、両者を結び付ける公式のドキュメントがどこにもないことです』
  • 中里一日記: 笙野頼子『ドン・キホーテの「論争」』(講談社)

    笙野頼子『ドン・キホーテの「論争」』(講談社) 粘着について。 私の得意技は粘着である。たとえば、少コミに粘着しはじめて1年が経つ。少なくともあと2年は粘着する予定だ。箸にも棒にもかからない作品(大半だ)のあらすじを書き感想を述べ採点するこの労苦を、粘着といわずしてなんと言おう。 バブル時代からこのかた、粘着は流行らなくなった。『チーズはどこへ消えた?』の時代というわけだ。だが、人間が粘着を捨てたら、人間でないもの――行政や企業や市場などのシステム――に逆らうすべがなくなる。人間でないものの粘着力には猛烈なものがある。ハリウッド映画のようにスマートに裏をかければそれに越したことはないが、裏をかけなかった場合はどうするのか。粘着することを放棄すれば、長いものに巻かれるしかない。 だから私は、著者の粘着ぶりに、まるで戦友に会ったような頼もしさを覚える。粘着は、人間が人間であるために欠かせない能

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    synonymous 2007/05/14
    『人間が粘着を捨てたら、人間でないもの――行政や企業や市場などのシステム――に逆らうすべがなくなる...粘着は、人間が人間であるために欠かせない能力だ』猛烈に大賛成
  • 中里一日記: Vista用PCをいつ買うべきか

    Vista用PCをいつ買うべきか たまには実用的なことも書いてみる――Vista用PCを買うのにいい日は、いつか? 高性能・高機能のPCなら、金さえ払えばサルでも買える。こんなエントリを読む必要もない。だが、広告(製品レビュー)が書かないネガティブな要素の少ないPCを買うには、金ではなく知恵が要る。 ハードウェアベンダは、ネガの少なさではなく、高性能・高機能を売りたがる。ベンダには、ネガを潰すインセンティブが乏しい。しかしMicrosoftには大いにインセンティブがある。糞ハードウェアや糞ドライバのせいでWindowsが落ちたとき、責められるのはMicrosoftだからだ。 というわけでMicrosoftは長年にわたってネガ潰しに努力してきた。たとえば、XPのドライバのインストール時に、「このドライバはデジタル署名されていません」という警告が出る。認証プロセスを経ない(=出来の怪しい)ドラ

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    synonymous 2007/03/13
    『Vista用PCを買うのにいい日は、2007年6月1日である。』
  • 中里一日記: すぎ恵美子を追悼する

    すぎ恵美子を追悼する 漫画家のすぎ恵美子さん死去 死因は胃がんとのこと。 すぎ恵美子は、一昨年末から昨年春にかけて、かなり長いこと入院していた。独身らしいので、告知はされていただろう。 最後の連載となった『水戸黄門外伝 DokiDokiアキの忍法帳』は、学年誌の「小学5年生」に掲載だったので、目を通していない。 私が最後に読んだ作品は、「Cheese!」2006年7月号増刊に掲載された読み切りの、『カノジョノアソコ』だ。私はこれを読むためにCheese!増刊を買った。軽やかで切れ味のいい、すぎ恵美子らしさにあふれた佳作だった。 思い返してみると、晩年の連載は冴えない。掲載誌の対象年齢が高すぎて相性が悪かったらしい。たとえば『砂糖菓子少年』だ。 『砂糖菓子少年』は、20代なかばの主人公(女性)が、小学6年生の無邪気な少年(外見は20歳くらい)に魅力を感じる、という話だ。長年のすぎ恵美子ファン

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    synonymous 2007/02/14
    『読み切りについては記憶に自信がないので、最高傑作を選ぶのは、全集が出たときにしたい。出るとも思えないが』そういう作家を愛すること。
  • 中里一日記: タダほど高いものはない

    タダほど高いものはない タダほど高いものはない――電子メールのことだ。 予言しよう。いまから100年後、2107年2月11日にも、人類はまだ電子メールに依存している。 人々が受け取るスパムの量は10^4倍に増加している。つまり全メール流量の99.999...%はスパムだ。 その文面も、人工知能によるスパムフィルターを突破するべく、これまた人工知能を駆使して書かれたものになる。よくできたスパムを、文面からだけでスパムと見分けることは、まったく不可能になる。 あらゆる障壁を突破して人々が読んでしまうスパムの量は、10~40倍に増加している。メールアドレスを名刺に書くことは、スパムの検討に毎日2時間を費やすことに等しくなる。なのに電子メールの利用率は現在と変わらない。 小手先のスパム対策でメールをはじくISP(hotmail、yahoo)に対策するため、メールサーバの設定は極度に難しく流動的にな

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    synonymous 2007/02/14
    電子メールのディストピアイメージ。
  • 中里一日記: エロまんが的なるもの

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    synonymous 2006/12/06
    凝縮された文章ゆえ、解読が必要なようだ。
  • 中里一日記: 柳龍拳 VS 岩倉豪

    柳龍拳 VS 岩倉豪 2006年11月26日午後7時、北海道は札幌にある体育館「きたえーる」の柔道場にて、ひとつの他流試合が行われた。主なルールは以下のとおり。 ・目突き、肘、股間への攻撃は禁止 ・足以外のところが地面についているときは顔面への打撃は禁止 さらに、これがルールかどうかはわからないが、 ・グローブなし、マウスピースなし 「手の骨、鼻の骨、前歯、どれが先に折れるか」という、無闇に危険なセッティングである。感染症の問題もある。おそらくもう二度と見られないセッティングだろう。 そして対戦者の片方も珍しい。 珍しくないほうは、総合格闘家の岩倉豪。アマチュアだそうだが、鍛え上げられた巨体がまさに格闘家だ。 珍しいほうは、合気道を教える柳道場の師範、柳龍拳。御歳65歳、細身の老人だ。合気道を教えているといっても、平凡な合気道家ではない。「気功」を看板に掲げるオカルト風味の怪老人である。オ

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    synonymous 2006/11/28
    香織派先生の暴力批判論。
  • 中里一日記: 点取り占い風

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    synonymous 2006/11/27
    百合の師匠のご託宣。
  • 中里一日記: 笙野頼子『説教師カニバットと百人の危ない美女』(河出書房新社)

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    synonymous 2006/10/06
    『テロ組織・巣鴨こばと会残党が掲げる大義、それは、アナクロな良妻賢母主義である。良妻賢母主義が約束したはずの幸せ(結婚)に恵まれなかった女性が先鋭化した果てにゾンビ化』なんだかすごそうだ。
  • 中里一日記: 少コミを読む(第10回)

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    synonymous 2006/10/06
    『「コンテンツ産業」「オタク」「萌え」。これらはみなスーツ野郎の語彙になってしまった。つまり、もう終わったということだ。スーツ野郎の目には、死んだ労働しか見えない。』
  • 中里一日記: カジミェシュ・モチャルスキ『死刑執行人との対話』(恒文社)

    カジミェシュ・モチャルスキ『死刑執行人との対話』(恒文社) ユルゲン・シュトロープはナチスの幹部である。1943年、ワルシャワ・ゲットーに立てこもった7万人(推定)のユダヤ人を狩り出して、5万6千人を捕らえた(差は戦死者)。終戦時には親衛隊中将兼警察中将だった。戦後は戦犯として裁かれ、1952年にポーランドで死刑を執行された。 書の著者モチャルスキは、シュトロープと同じ監房で約250日を過ごし、彼の回想に耳を傾けた。モチャルスキが何者かといえば、ポーランドのレジスタンス(国内軍)の元将校だ。そんな英雄がなぜ監獄にいるのかといえば、スターリンにとって自分以外の英雄はすべて邪魔だったからだ。 ドラマというほかない舞台である。といっても、なにも起こらないドラマだ。誰も悔い改めず、和解も起こらない。だが読み始めたら止まらない。7andy

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    synonymous 2006/10/03
    『なにも起こらないドラマだ。誰も悔い改めず、和解も起こらない。だが読み始めたら止まらない。』