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中里一日記: 笙野頼子『ドン・キホーテの「論争」』(講談社)
笙野頼子『ドン・キホーテの「論争」』(講談社) 粘着について。 私の得意技は粘着である。たとえば、... 笙野頼子『ドン・キホーテの「論争」』(講談社) 粘着について。 私の得意技は粘着である。たとえば、少コミに粘着しはじめて1年が経つ。少なくともあと2年は粘着する予定だ。箸にも棒にもかからない作品(大半だ)のあらすじを書き感想を述べ採点するこの労苦を、粘着といわずしてなんと言おう。 バブル時代からこのかた、粘着は流行らなくなった。『チーズはどこへ消えた?』の時代というわけだ。だが、人間が粘着を捨てたら、人間でないもの――行政や企業や市場などのシステム――に逆らうすべがなくなる。人間でないものの粘着力には猛烈なものがある。ハリウッド映画のようにスマートに裏をかければそれに越したことはないが、裏をかけなかった場合はどうするのか。粘着することを放棄すれば、長いものに巻かれるしかない。 だから私は、著者の粘着ぶりに、まるで戦友に会ったような頼もしさを覚える。粘着は、人間が人間であるために欠かせない能
2008/05/23 リンク