三週間ほど前に電車に乗って座っていたら、隣に中年の夫婦連れが腰掛けてきて、二人で天井の中吊広告を指差しがら会話をするのが聞こえてきた。その中吊広告は週刊文春の当時の最新号のもので、「横田めぐみさんに男の子がいた」というような目を惹くタイトルが宣伝されていたものだった。夫婦連れの妻の方が、「あら、めぐみさんには男の子もいたんだって」と夫に話しかけたのだが、夫の方が「それ本当かどうか分かんないよ」と妻に返した。夫は中吊広告を見上げながら、「拉致の話って、何がどこまで本当なのか全然分かんないよね。信用できない」とハッキリ言った。それに合わせて妻の方も、「たしかにそうだよね」と頷いていた。二人の会話を聞きながら、私は内心ホッとして、多くの普通の市民は、この中年夫婦のように拉致事件を捉えているのだろうと思ったし、市民は単にマスコミに騙されているだけでなく、あまりに過剰なマスコミのプロパガンダ報道の洪