5月下旬に新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「パンデミックの状況で五輪をやるのは普通はない」と発言して以降、しばらくになります。 このセンテンスが広く知られる一方、私のような専門家目線では、カギとなる発言として「どのような状況で感染リスクが上がるのか、しっかり分析して意見するのが専門家の務めだ」という文が極めて重要であると考えています。 いまこそ、落ち着いてこの感染症のリスクと向き合うことが何よりも重要だと信じています。本稿では、今回のことを契機にあぶり出された日本の新型コロナ対策の根幹となる問題について、その本質に触れつつ整理したいと思います。個人的には、以下に述べる問題点の改善は、今後、日本が“科学技術研究の成果”を政策活用に結び付けられる国となるのか否か、そのカギを握るものとさえ考えています。 「政治」と「科学」の対立が煽られた経緯 最初に私の想いを述べますが、私は政府
モデルナの開発した「mRNAワクチン」 1月11日に中国の研究チームがウイルスのゲノム情報(塩基配列)を公表すると、その二日後にワクチンの設計を終え、3月16日には実際に被験者に投与する第一相臨床試験を開始するという驚異的な開発速度で一躍、世界の注目を浴びた企業があった。米国立衛生研究所(NIH)と共同開発しているという、そのバイオベンチャーの名前に見覚えがあった。本書の第六章で、米国防高等研究計画局(DARPA)から出資を受けた企業として紹介したモデルナだ。 抗原を投与して、体内でウイルスを撃退するための抗体を作らせる従来のワクチンに対し、モデルナの開発した「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」は、抗原そのものではなく、その「設計図」となるmRNAを注射で投与する。細胞内でmRNAに書かれた設計図通りに抗原タンパク質が作られると、後は従来のワクチンを投与したときと同様に抗体が作られ
新型コロナウイルス禍の中で7月23日に開幕を迎える東京五輪は「アブノーマル」な大会になると「南ドイツ新聞」が報じている。 同紙によると「開幕まで6週間を前に、深刻な紛争に巻き込まれている」と五輪開催の賛成派の主催者とアスリート、反対派の国民が攻めぎ合っている現状を伝え「問題は変わっていない」という。その上で「大規模な大会の開催は、パンデミックが克服されたサインになる」としつつも「延期やオリンピックの放棄は、悲惨な権力による敗北である」と皮肉を込めた。 特に日本の政治的な側面も異常な大会になる理由という。「日本のリーダーシップにとって中止は不名誉である一方で、菅義偉首相は秋の総選挙に向けた追い風を期待しており、権威あるオリンピア計画に固執している」とし「中止の場合、最大のライバルである中国がパンデミック後、初めての五輪開催国になる」と、2022年北京五輪への対抗心を指摘した。 医療面にも疑問
2020年は、COVID-19のワクチン開発が盛んに行われ、新しい創薬モダリティであるメッセンジャーRNA(mRNA)医薬に注目が集まりました。通常の開発では数年かかると言われる感染症ワクチンの領域において、COVID-19の世界的なパンデミックという特殊な環境下ではありますが、ウイルスの同定から1年以内という極めて短い期間でmRNAワクチンの実用化が達成されました。この新しいモダリティについて、有用性や安全性などのメリットが示唆されたことから、今後の医薬品開発の世界を変えるゲームチェンジャーになるとmRNA医薬に対する関心が世界的に高まっています。 1.mRNA医薬とは あらゆる生物の遺伝情報は二重らせんを形成するDNAという遺伝物質に保存されています。生物を構成する全ての細胞で含まれているDNA分子のセット(「ゲノム」と呼ばれます)は基本的に変わりませんが、それぞれの細胞では異なるタン
新型コロナウイルスの発症と重症化を防ぐ「切り札」と期待されるワクチンの1つ「mRNAワクチン」に欠かせない技術を開発したことで知られ、世界的に注目される科学者、カタリン・カリコ博士がNHKの単独インタビューに応じ「ワクチンを導入した国では効果が確認されている。希望を持って欲しい」と日本の私たちに向けてメッセージを述べました。 苦難の連続 ハンガリー出身の科学者、カタリン・カリコ博士は、大学卒業後アメリカに渡り、遺伝物質の1つ「mRNA」の研究を行いました。 しかし、研究成果はなかなか評価されず、助成金の申請を企業に断られたり、所属していた大学で役職が降格になったりするなど、40年にわたる研究生活は苦難の連続でした。 2005年には、当時同僚だったドリュー・ワイスマン教授と、今回のワクチンの開発につながる革新的な研究成果を発表しましたが、これも注目を集めることはなく、その後大学の研究室を借り
5/18 追記色々情報が出てきたので答え合わせ。 前提として、 接種番号は自治体が発番する。そのため、このシステムは、入力された接種番号が正しく存在する番号かどうかさえ確認するすべはない(形式的に間違っている番号はわかる)。 接種番号は自治体が発番するため、接種番号と接種者の情報を紐付けられるのは自治体のみ。接種番号に対応する郵便番号や生年月日も、このシステムはわからない。 接種券は、このシステムが開発着手する前から印刷されていた。チェックディジットやハッシュは、その時点で接種番号の仕様に含まれていなかった。 大規模接種会場の予約システムなんて話が裏で進められ始めたのが今年の1月。接種券の印刷・送付の通達が出たのは去年の12月。 その通達では、券番号として、自治体内で一意であることしか定められていなかった。 このシステム、ひいては大規模接種の目的は、早期にワクチン接種を完了させること。 し
新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの概要を発表する防衛省の中山泰秀副大臣(C)朝日新聞社 AERAdot.編集部で予約した画面 AERAdot.編集部で予約した画面 菅義偉首相の肝いりで5月24日、東京都千代田区大手町に開設予定の新型コロナウイルスワクチン大規模接種センター。 【写真】AERAdot.編集部で予約した証拠画面はこちら 接種予約は17日午前11時の開始からわずか45分で2万1000件に達するなど順調な滑り出しだったが、システムには重大な“欠陥”があることがAERAdot.編集部の調べでわかった。予約対象者の65歳以上の高齢者ではなくても、誰でも、何度でも予約ができるのだ。セキュリティ設計は一体、どうなっているのか。 菅首相が掲げた「1日100万人接種」を達成すべく、1日1万人の高齢者が接種できるという触れ込みで準備が始まった大規模接種東京センター。 予約が始まった
新型コロナの感染が急拡大した要因の1つと見られている変異ウイルス。 ネット上では不安の声が急増しています。 感染力はどのくらい強いの? どんな症状が出るの? わからないことが多い変異ウイルスについて、感染した人や患者を診た医師に話を聞きました。 (ネットワーク報道部 井手上洋子 谷井実穂子 斉藤直哉) 新型コロナの変異ウイルスの感染者が日本国内で初めて確認されたのは去年12月末。 それ以降、ネット上には不安を訴える投稿が増え続けています。 ツイッターでは4月だけで「変異ウイルス」や「変異株」に言及した投稿がリツイートを含めておよそ200万件に上っています。
◆◆◆ どうして、これほど日本の接種は進まないのか? 【Q1】海外ではワクチン接種率が上昇し、成果も上がっているのに、日本ではようやく高齢者の接種が始まったばかりです。どうしてこのような状況になってしまったのですか。 【A1】ワクチンを作れる国はまず自国民の接種を優先するので、他国への供給は後回しになります。もし日本が自前のワクチンを持っていたとしても、同じことをしたはずです。つまり、ワクチンは「安全保障の切り札」なのです。 海外の多くの国は、今回のような緊急時には通常時とは違って、新しい薬剤の承認を迅速に進められる仕組みを整えています。日本は「安全性を優先する」という理由で、国内で使う薬剤の承認には慎重で、どうしても時間がかかります。安全性を追求することは悪いことではないけれど、結果として最前線で働く医療者や重症化リスクの高い高齢者も、なかなかワクチンを打つことができずに待たされる、とい
The next act for messenger RNA could be bigger than covid vaccines 史上最速のワクチン実用化、 生みの親が語る mRNA技術の未来 世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルス感染症。収束への光をもたらしたのは、史上最速で開発に成功したワクチンだった。このワクチンによって初めて実用化されたメッセンジャーRNA(mRNA)の技術は、医薬品製造の歴史をこれから大きく書き換える可能性を秘めている。 by Antonio Regalado2021.04.23 41 76 2020年12月23日、ペンシルベニア大学は、新型コロナウイルスワクチンの接種を推奨するための宣伝活動の一環として、新型コロナウイルスワクチン開発の立役者である2人の研究者、カタリン・カリコ准教授とドリュー・ワイズマン教授がワクチン接種を受ける映像を公開した。脂質粒子で遺伝
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大する中、NECは4月23日にオンライン記者説明会を開き、AI(人工知能)解析を用いたCOVID-19のワクチン開発を進めていることを明らかにした。これまでの研究成果は同日、海外学術誌に論文(抄録)として掲載され、今後、製薬企業との提携によるワクチン製造を目指すとしている。 今回のAIによるCOVID-19ワクチン開発は、NECがかねて進めていた「がんワクチン」開発の技術やノウハウを応用したものだ。COVID-19の診断、治療、予防手段が一刻も早く求められる中、医薬品開発の動きが垣根を越えて情報通信分野にも広がる。説明会では、同社AI創薬事業部事業部長の北村哲氏と、シニアマネージャーの山形尚子氏がワクチン開発の経緯や展望について語った。 注目の「Sタンパク質」だけでは不十分 NECが新型コロナワクチンの開発で着目したのは、新型コロナウ
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著者に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、「スタンフォードでいちばん人気の授業」(幻冬舎)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)など。BIPROGY(旧・日本ユニシス)株式会社社外取締役。佐藤智恵オフィシャルサイトはこちら ハーバードの知性に学ぶ「日本論」 佐藤智恵 世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバードビジネススクール。その授業では、「日本」が教材となることも少なくないという。この連載では、作家・コンサルタントとして活躍する佐藤智恵さんがハーバー
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