鉄道草創期には列車への便所設置はなく、乗客は途中停車駅での休憩時間に用を済ませる必要があったが、鉄道網の延伸で19世紀中期には長距離の鉄道旅行が普及し、欧米の鉄道では車内に便所を設置することが一般化した。 長距離運用のあるアメリカなどでは、ディーゼル機関車の車内に便所を設置した例もあったが、日本で機関車に便所を設置した例はない。これは、長距離列車の場合でも、機関士・運転士は通常2時間程度乗務し、所定の駅で別の要員と交代するため、便意は長距離乗務のある車掌ほど深刻にはならないとされていた。なお、貨物列車に乗務するJR貨物では長い乗務時間でも用を足せるように簡易トイレを持参する運転士もいる[1]。 ヨーロッパのように、陸続きの鉄道やアフリカなど治安の悪い国々の鉄道では、無銭乗車者、密入国者、麻薬常用者などの犯罪者が潜伏するおそれがあるため、ホーム停車中はトイレが施錠され、使用禁止とされている例