ついに「ゴーン切り捨て」に転換したフランス側。だが、今回の一件を単純な権力交代劇と捉えては本質を見誤る。20年周期で権力闘争を繰り返してきた日産の歴史には、日本企業の負のDNAが凝縮されている――『日産VS.ゴーン 支配と暗闘の20年』を上梓したジャーナリストの井上久男氏はこう指摘する。 20年周期であらわれる「モンスター」 日産のカルロス・ゴーン会長兼CEO(当時)の電撃的な逮捕から、約3ヵ月が経った。 当初、ゴーン擁護に回っていたルノーとフランス政府だが、ベルサイユ宮殿での結婚式への会社の資金流用など、ルノーにおけるゴーンの不正行為が次々と明るみに出て、フランス側も「ゴーン切り捨て」に舵を切った。 新たにルノーのトップに就任したジャン=ドミニク・スナール会長は、西川廣人・日産社長兼CEOへの歩み寄りを見せており、今後は両社が協力して新たなガバナンスを模索すると思われる。 だが、歴史ある