魔法使いの弟子という、ライトノベルな入り口から、情報科学・数学・認知科学にわたる理論―――オートマトンと形式言語をめぐる冒険を堪能する。 見た目はファンタジー、中身はガッツリ計算理論をしながら、「計算とは何か?」、すなわち計算の本質に迫る。それは、与えられた前提とルールを組み合わせて解を導くこと。これは、人もコンピュータもできる。計算の量だとか、速さなどは、圧倒的にコンピュータの勝ちなのだが、「人にはできて、コンピュータにはできない計算問題」はあるのだろうか。この秘密は、計算式そのものではなく、計算を解釈する箇所に潜んでいると予想している。人を計算する機械と見なしたとき、問題を解釈する言語をどのように「計算」しているのか? このテーマについて、もっと具体的に「謎の提示→対決→解決」を繰り返す形で示してくれる。しかも、専門用語を本編から追いやって、魔法使いの冒険譚として読ませてくれる。○と●