地球以外のどこかに、生命の星は存在するのか? 本書はその謎に、地球惑星システム科学という観点からアプローチした一冊である。著者の阿部豊さんは、数えきれないほどの思考実験と分野横断的な分析を繰り返し、ある確信へと到達する。だがそんな彼を、突然病魔が襲う。 解説の阿部彩子さんは、共同研究者として、そして妻として阿部豊さんを支えてきた人物。彼女の目を見た本書の読みどころを、特別掲載いたします。(HONZ編集部) 「信念」を「科学」に変える もしも、地球にある水の量をいまの10分の1に減らしたら何が起こるだろうか? 私たちが2011年に『アストロバイオロジー』という科学ジャーナルに発表した研究論文、「陸惑星の生存限界」のなかで答えようとした問題のひとつです。 私の夫、阿部豊の専門は「地球惑星システム科学」というべきもので、いわば地球物理学、地質学、鉱物学、地理学などの垣根を統合し、包括的にこの惑