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ブックマーク / web2.chubu-gu.ac.jp (5)

  • 脳の中のこびと

    1.パラケルススのホムンクルス ヨーロッパには、ラテン語で小さな人を意味するホムンクルス(Homunculus)が、精子や耳の中にいて発生や感覚をつかさどるいう逸話があった。スイスに生まれたパラケルスス(Paracelsus、名Theophrastus Philippus Aureolus Bombastus Von Hohenheim、1493-1541)は、イタリアのフェラーラ大学医学部を卒業し、その後、スイスのバーゼル大学医学部教授に就任した。しかし、キリスト教を批判したため追放され、その後、完全な生命を生み出すことを目指し錬金術師となった。 彼は、ホムンクルスを作り出したと主張している。その製法は「精液を蒸留器の中に40日間密封すると、人間の形に似たものがあらわれる。さらに人間の血で40週間与え、ウマの胎内に等しい温度に保つとホムンクルスになる。」という奇妙なものであった。 2.

  • 動物は夢を見るか?

    動物が夢をみるかどうかは、動物に聞いてみなけらばわからない。動物がことばをしゃべらない以上、完ぺきな解答は得られない。しかし、動物が夢をみると考えてもよさそうな証拠はいくつかある。 ペットを飼っている人達は、動物が夢をみると信じている。私の姪のナオコは犬が大好きだ。叔母の家のヨークシャーテリアとよく遊んでいる。夜になるとその犬は枕に頭をのせ、仰向けになって姪の横に寝る。寝ているときに突然キャンと声を出し、目を覚ましたのかと見るとやっぱり寝ている。突然むくっと起き上がり、ふらふらと歩いてまた寝てしまうこともある。似たような経験は、ペットを飼っている人達が多かれ少なかれ持っているようである。 しかし、言葉をしゃべらない動物が確かに夢をみると証明することは、ほとんど不可能である。そこで動物も夢をみると信じてもよさそうな証拠をいくつか紹介し、結論は読者の判断に委ねたい。 1.大脳をもつ動物だけが眠

  • 話ことばの中枢:ブローカの運動性言語野

    1861年4月、ブローカが勤めていたビセートル病院のブローカの病棟にルボルニュという51歳の男性が入院してきた。ブローカが何を尋ねても、彼は左手のジェスチャーを加えながら「タン、タン」と2度繰り返すだけであった。ルボルニュは31歳のときビセートル病院に入院した病歴を持っており、その第1回の入院の2、3カ月前から言葉をしゃべることができなくなっていた。しかし、その他の知能はまったく正常で、病院では「タンさん」と呼ばれていた。彼は、他人のいうことは何でもわかり、いろいろなジェスチャーでおおまかな意志の伝達ができた。37歳で右下肢の運動麻痺が始まり、44歳からは寝たきりの状態でになっていた彼は、6日後に死亡した。ブローカはその24時間後に剖検を行い、左の下前頭回に脳梗塞を見い出した。こうして、運動性言語野は発見された。この領域はブローカの名前をとってブローカの運動性言語野、ブローカ野、ブローカの

    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2021/03/17
    タンタンの本名はルイ・ビクトール・ルボルニュ
  • 脳の中のこびと

    1.体性感覚野には体の地図がある 体性感覚は内蔵と脳以外の身体組織にある感覚器官によって生じる感覚です。表在性受容器(皮膚受容器)は、皮膚、粘膜、皮下組織などにあって外部からの機械的変形、温度変化を検出します。深部受容器(固有受容器)は、筋肉、腱、骨膜、関節嚢、靭帯などにあって内部の運動器官の機械的変形を検出します。深部受容器は、自己の運動状態を検出するために重要な役割を演じています。「脳の中のこびと」で紹介した大脳皮質の一次運動野は、体の位置に対応した規則的な地図を持っていました。図1は「脳の中のこびと」に載せた図と同じです。体性感覚の情報を受け取る大脳皮質の領域は、中心溝という脳溝を挟んで一次運動野と向き合っています。一次運動野はこの溝の前に、第一体性感覚野はこの溝の後ろにあります。第一体性感覚野にも体の位置に対応した規則的な地図があり、その配列は図1に示した運動野の地図とほぼ同じ配列

  • 逆転メガネ、脳の適応力

    ヒトやサルの目はカメラに似ていて、レンズ(水晶体)を通過した光は、上下にも左右にも逆転した像を網膜に結びます。外の世界は上下逆さまに写されたまま、もとに戻されることはなく、脳に行っても脳の上側(背側)は下の視野に、脳の下側(腹側)は上の視野に対応しています。網膜に写った像は左右にも逆転していますが、左右の視野の問題は、私たちが2つの目を持っているのでもう少し複雑です。 ヒトやサルは、左目と右目の両方を使ってものを見ています。言い換えると、左目も右目も左視野、右視野の両方を見ていることになります。一方、大脳皮質は左右にほぼ対象な形をしており、その左側は右側の世界を担当し、右側は左側の世界を担当しています。このように、脳が外の世界の反対側と対応していることを対側支配と呼んでいます。この原則に従って、視覚情報も左視野の情報は右の大脳皮質(右半球)で、右視野の情報は左の大脳皮質(左半球)で処理され

    逆転メガネ、脳の適応力
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