地下に眠るMさんによる医学的にみて純然たる老衰死ってあるの?という質問にインスパイアされて、老衰死の割合および経時的な増減を調べてみた。残念ながら純然たる老衰死の割合は不明であり、ここで論じるのは死亡診断書の死因の欄に「老衰」と書かれたものである。死亡診断書に書かれる死因は結構いい加減なところもあるが、大まかな傾向ぐらいはわかる。 老衰とされた死が増えたのか減ったのか、二通りの考え方があるだろう。医学が進歩し、さまざまな病気の治療法は改良された。もちろん、現代でも克服できない病気は癌をはじめとして多々あるが、それでも過去と比較して寿命は延びた。その分、老衰死は増えたかもしれない。病死して脱落する者が減れば老衰死というゴールにたどり着く者は増えるという考え方である。あるいは、診断技術の進歩により、過去には老衰死とされたような死に病名がつくようになり、老衰死という「診断」は減ったという理屈も成