2008年5月12日、四川省アバ・チベット族チャン族自治州汶川(ぶんせん)県を震源とするマグニチュード7.9~8.0の大地震“汶川大地震(日本では「四川大地震」と呼ぶ)”が発生し、四川省を中心に甚大な被害をもたらし、死者および行方不明者の合計は8万7000人を超えた。震源地となった汶川県から約80km離れた“北川キョウ族自治県”(以下「北川県」)も被災状況は甚大で、“中国農業銀行北川支行(支店)”のビルの倒壊現場では、行員110人中の33人が瓦礫の中で死亡した。 この時、女子行員の“宮天秀”(当時40歳)は、地震発生から73時間半が経過した5月16日に救援隊員によって瓦礫の中に埋まっているのを発見された。しかし、彼女は右脚の膝から下の部分を巨大な石に押しつぶされていて身動き取れない状態にあった。当時の北川県は大型救援機材類の搬入ができない状況にあり、人力で巨石を動かすことは不可能で、宮天秀