ケネウィックのコロンビア川畔 1996年7月28日、コロンビア川の河畔で大学の競漕を観戦していた若者が人骨を発見し、警察に通報した。検死の結果、先史時代の人骨とされ研究機関に送られた。 そこで9300年前の人骨であり、なおかつ現在知られるネイティブ・アメリカンに属さないという説(復元した顔が俳優パトリック・スチュワートとそっくりだった)が発表されると、地元の先住民部族であるユマティラ族の代表が訴訟(研究を中止し埋葬する)を起こした。ネイティブ・アメリカンの文化を尊重し、開拓時代以前の人骨は彼らの流儀で埋葬しなければならない法律があったためである。調査を請け負っていたチャターズ博士は遺骨を安全に搬送するよう州軍に依頼するが、事なかれ主義の州軍は骨の引渡しを拒否し、発掘現場周辺を土砂で埋め立ててしまった。しかし、裁判所は原告の主張を退け、研究の続行を許可した。
イスラエルで発見されたこの顎骨の化石は約18万年前のものと推定され、アフリカの外で発見された現生人類の化石としては最古のものになる。(PHOTOGRAPH BY GERHARD WEBER, UNIVERSITY OF VIENNA) アフリカで誕生した現生人類(ホモ・サピエンス)は、これまで考えられていた時期よりもずっと前から、アフリカの外へ出ていたようだ。イスラエルで発見された上顎の化石に関する研究成果が、科学誌『サイエンス』に発表された。 この発見は、現生人類とネアンデルタール人などの近縁種が、地中海東岸地域で、これまで考えられていたより長い期間共存していたことを示す証拠にもなる。(参考記事:「人類3種が数万年も共存、デニソワ人研究で判明」) 従来の人類史に風穴 現生人類の誕生や移動については、つい最近まで次のように考えられてきた。現生人類が東アフリカに現れたのは今から約20万年前。
[ワシントン 25日 ロイター] - イスラエルの洞窟で、知られている限りアフリカ以外で発見されたものとしては最古とされる現生人類の顎の骨の化石が発掘された。これにより、人類の祖先がこれまでに分かっていたよりはるか以前にアフリカ大陸を出ていたことが示された。 調査結果は科学誌サイエンスに掲載。7本の歯が生えたこの骨は、17万7000─19万4000年前のものとみられている。歯には、ネアンデルタール人など当時生存していた近縁の人類には見られず、ホモ・サピエンスに見られる特徴があるという。 化石は若い成人の左上顎骨だが、性別は不明。発見されたのは、ハイファの南方12キロの地点にあるカルメル山中の崩壊したミスリヤ洞窟。人類が暮らした痕跡があり、ほかには当時としては洗練された石器や複数の暖炉、焼けた動物の骨なども見つかった。 これまでにアフリカ以外で発見された最古のホモ・サピエンスの化石は、同じく
イスラエルの洞窟で見つかった化石から、現生人類が約17万~19万年前の時点で、アフリカから中東に移動していたことがわかった。これまでの定説より約4万~5万年さかのぼるという。国際研究チームが25日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。 現生人類の起源はアフリカで、およそ約12万年前にアラビア半島やアジアに広がったと考えられてきた。今回、イスラエルなどのチームがイスラエル北部のカルメル山の洞窟で、約17万7千~19万4千年前の上あごの骨や歯を発見した。 化石をCTスキャンなどで詳しく分析し、アフリカや欧州、アジアで見つかったほかの人類の化石と比べたところ、特徴から絶滅したネアンデルタール人などではなく、現生人類の化石と判断した。 国立科学博物館の篠田謙一・人類研究部長は「化石が発見されたイスラエルのカルメル山では、以前から現生人類やネアンデルタール人の化石が見つかっていた。今回の発見は、現
これは9月28日分の記事として掲載しておきます。種区分未定のデニソワ人(Denisovan)については、以前このブログの関連記事をまとめたことがあります(関連記事)。その時は関連記事のリンクを貼っただけでしたが、デニソワ人に関するこのブログの記事がそれなりの本数になったので、一度自分なりにデニソワ人の情報を整理することにしました。デニソワ人は、南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された、現生人類(Homo sapiens)ともネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)とも異なる後期ホモ属の分類群です。 現生人類やネアンデルタール人といったホモ属の各種や、さらにさかのぼってアウストラロピテクス属の各種もそうですが、人類系統の分類群は基本的には形態学的に定義されています。しかし、デニソワ人は人類系統の分類群としては例外的に、遺伝学的に
公開:2022年12月22日 更新:2022年12月26日 ITパスポートの資格を取得すればIT業界への転職に役立つ? ITエンジニア向けの国家資格はさまざまありますが、その中でも比較的簡単に取れる資格が「ITパスポート」です。このITパスポート、IT業界を目指す未経験者としては、「取っておくべきかどうか?」と悩むところではないでしょうか? もちろんお金と時間がいくらでもあれば話は別ですが、「忙しい中を何とか時間を作ってITパスポートの資格を取ったのに、応募した企業にまったく評価されなかった」というのでは、意味がありません。そこで、ITパスポートの資格が本当に未経験者のIT業界転職に必要なのか、キャリアアップにも役立つのかどうかを検証してみましょう! ITパスポートの資格を効率的に取得するための勉強法や、ITパスポートの資格取得にかかる勉強時間、勉強から受験までの費用に関してもご紹介します
人類の進化をモチーフにしたマグカップ(2009年2月12日撮影、資料写真)。(c)AFP/Carl de Souza 【12月8日 AFP】人類がアフリカを出て移住したのは約6万年前の一度だけという説はもはや正確な人類史とは考えられないとする研究報告が7日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。 研究によると、現生人類の拡大をもたらしたのは、約12万年前から始まった複数回にわたる移住だ。 DNA分析や化石同定技術の発達、とりわけアジア地域における発見が、人類の起源についてのこれまでの認識を見直す一助となっている。 研究によると、現生人類ホモ・サピエンス (Homo sapiens)がアジアに到着したのはこれまで考えていたよりずっと前であることが、過去10年間の「大量の新発見」で明らかになったという。 中国の南部と中央部の複数の場所で、約7万~12万年前のホモ・サピエンスの化石が
オスメスの有性生殖は、遺伝的にヘテロの交雑によって環境適応の多様性を持つことを目的にしている、というのが一般的な理解だ。つまり、近親相姦(近親交配)によるホモ接合を回避しなければ意味はない。 近親相姦の回避は、有性生殖を行う生物で広く観察される。これは、ヒトでは近親相姦のタブー(Incest Taboo)であり、ヒト以外では近親交配回避(Incest Avoidance)と言う。ただ、このシステムがいったいどのように生物に備えられたのかは議論が継続中だ。 どうやって近親相姦を回避するか ニホンザルの群れでは、オス(息子たち)が性的成熟を迎えると群れを出て行き、メス(娘たち)は群れに残ることで群れの中での近親交配を避ける。チンパンジーでは逆で、一般的にメス(娘たち)が群れを出て他の群れに合流する。群れを形成する生物では、オスが出るかメスが出るか、ということになる。 ヒトの場合、幼い頃から一緒
およそ1万年前に絶滅した謎の肉食獣「ホラアナライオン」の赤ちゃんが、ロシアの永久凍土の中から極めてよい保存状態で見つかり日本とロシアの共同研究チームが詳しく調べたところ、この赤ちゃんは、5万年以上前に生まれたと見られることがわかりました。 15日会見した研究グループによりますとこのホラアナライオンの赤ちゃん2頭がロシアのサハ共和国の永久凍土の中から、おととし見つかり、このうち1頭は、体長40センチ、重さ3キロで顔には毛が残り、まるで眠っているように見えるほど保存状態がよいということです。 研究グループが体の特徴を詳しく調べたところ、このホラアナライオンは、生後1か月未満の赤ちゃんで現在のライオンに比べて体の毛が多く、5万年以上前に生まれたと見られることがわかりました。 また研究グループによりますとことし9月にもこの2頭よりも成長したホラアナライオンの赤ちゃん1頭が新たに見つかったということ
アフリカの環境や地形の変動の歴史に関する最新の情報に、現生の類人猿の遺伝学・生態学的知識を重ね合わせ、ヒト科の進化に関して魅力的な仮説を提示できたと思います。 概要 従来ヒト科に属するゴリラ、チンパンジー、ボノボ、ヒトの共通祖先はアフリカ中央部にひろがる熱帯雨林で進化したと漠然と考えられていました。しかし、近年の石油探査のためのコンゴ川河口部のボーリング調査などで、中央部のコンゴ盆地を取り囲むコンゴ川の成立が従来考えられてきた180万年から260万年前ではなく、新しく見積もっても3400万年前には成立しており、その南側の熱帯林にはヒト科の共通祖先はいなかった可能性が高いことが分かりました。 ゴリラと他のヒト科の分岐が1000万年ほど前、チンパンジーならびにボノボの祖先とヒトの祖先の分岐が600万年から700万年ほど前とされているので、そういったヒト科の種分化が起こるはるか前からコンゴ川はコ
[Part2] ネアンデルタール人と現生人類の関係に迫る 琴寄辰男 GLOBE記者 分子遺伝学の進歩によって、人類全体(メモ1 参照)の起源をめぐる謎も解き明かされつつある。欧州で、ネアンデルタール人の最新研究を追った。 「ネアンデルタール人のフルート」(レプリカ)=クロアチア・クラビナのネアンデルタール人博物館 Photo : Kotoyori Tatsuo オカリナに似た、どこかもの悲しい音色に、人類学者ら約150人が耳をすました。クマの大腿(だいたい)骨でできた「ネアンデルタール人のフルート」。 2月27日、クロアチア北部のクラピナにあるネアンデルタール人博物館の開館1周年式典で、私(琴寄)も演奏を聴いた。 「フルート」は隣国スロベニアの遺跡から見つかった。長さ10センチほど。約4万5000年前のもので、世界最古の楽器とされる。「フルート」の穴は動物がかんだ跡にすぎず楽器ではない、と
現在の中国南西部にすんでいた大型のカワウソSiamogale melilutra。沼地の水生生物を食べていたと考えられる。(ILLUSTRATION BY MAURICIO ANTON) およそ600万年前、現在の中国南西部にある沼地を、体重が50キロもある巨大なカワウソがうろついていた。(参考記事:「動物大図鑑:オオカワウソ」) カワウソの仲間のラッコは石を使ってウニを叩き割るが、この古代生物は、貝殻を直接噛み砕けるほどの強力な顎の持ち主だったかもしれない。(参考記事:「動物大図鑑:ラッコ」) 猛獣並みの大きさと強さを誇るこの動物はサイモゲール・メリルトラ(Siamogale melilutra)。先史時代に生きていたカワウソの祖先だ。中国の雲南省で発掘され、2017年初めに新種として発表された。 その後、この動物の下顎の骨が詳しく調べられた。噛み砕くのに適した強力な顎と歯を持っており、
DNAを単にデータ保存装置と考えるなら、それが保存するデータは、生物情報です。ヒトでいえば30億の文字があり、2万個の遺伝子をもっています。古遺伝学とは、はるか昔に死んだ生物のDNAを研究する学問です。この技術が開発されたのはここ10年ほどで、本格的な研究はまだ5年ほどという新しい分野です。 興味深いことに、DNAはデジタルディスクやテープなどよりもはるかに安定しています。条件さえ整えば、DNAはヒトや有機体の骨の中に数十万年も留まることが出来ます。それを取り出せるようになって、数十万年前に死んだ生物のゲノムを研究することも可能になりました。(参考記事:「ゲノム編集でヒト受精卵を修復、米初、将来性は?」) 最初の転機は、2009年に訪れました。ネアンデルタール人の骨からDNAを抽出することに成功したのです。こうして私たちとは別の人類の全ゲノム配列が決定され、古生物学者の長年の謎が解明されま
現在のスペインのエルシドロンに当たる地域に住んでいたネアンデルタール人の上顎骨の化石。一部に歯石を確認できる(2017年3月7日提供)。(c)AFP/Paleoanthropology Group MNCN-CSIC 【8月8日 AFP】新たなDNA解析手法により、はるか以前に絶滅したネアンデルタール人に関する通説が書き換えられつつあるとする研究論文が7日、発表された。 これまでの研究では、ネアンデルタール人が姿を消しつつあった約4万年前には、地球上に約1000人しか生存していなかったことが示唆されてきた。 だが、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文は、今回の研究によって、その数はそれよりもはるかに多い数万人に上っていた可能性があり、欧州各地に孤立した集団として生存していたことが明らかになったとしている。 遺伝的な手掛かりの一つは、ネアンデルタール人のDNAに、通常遺伝的多様性
石器時代のセックス|番組紹介|ナショナル ジオグラフィック (TV) 以前はホモ・サピエンスとネアンデルタール人とは別々に生息しており、争うことはあったかも知れないが、共生したり、文字通り交わることは無いと思われていた。 シベリアのデニソワ洞窟で小指の先の骨が見つかったことでこれまでの考えは修正されることになった。 マックス・プランク研究所でのDNA分析の結果、それがこれまで見つかっていない新種であると判明したからだ。 ネアンデルタール人はドイツのネアンデルタールで発見されたことからその名がついたので、この新種の人類はデニソワ人と命名された。 軟骨の組織から、見つかったデニソワ人は子供のものであるとわかった。 デニソワ人が見つかった洞窟から現生人類と同じような装飾品が見つかり、デニソワ人と現生人類は時代は異なるかも知れないが、同じ場所で生活していた可能性も出てきた。 ネアンデルタール人は2
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