絶滅のおそれがある国の天然記念物の淡水魚「イタセンパラ」約800匹が、危機に陥っている。大阪市水道局が水道記念館(同市東淀川区)で続けてきた人工繁殖事業を、7月末で中止するためだ。橋下徹市長の事業見直しで予算が削られ、800匹は数年後には死滅する見通しだ。専門家からは惜しむ声があがる。 イタセンパラは、二枚貝の中に卵を産み付ける生態が特徴。国内では琵琶湖を除く淀川水系、濃尾平野、富山平野の3地域にしか生息しないとされる。淀川ではかつて、川岸の「わんど」と呼ばれる天然の入り江に生息。河川改修でほぼ消滅したが、人工のわんどを造り、二枚貝を放流するなど、絶滅を防ぐ試みは続けられ、淀川のシンボルフィッシュと呼ばれてきた。 記念館は「淀川に暮らす多様な生き物を見ることで、水環境保全の大切さを市民に理解してもらおう」と、広報事業の一環として水生生物を飼育。イタセンパラも2002年に飼い始めた。05年か