「まさか!」の驚きのうちに、世界史の教科書に新たなページが加わった。チュニジア、エジプトで独裁政権が倒され、今またリビアが揺れている。革命の主役は若い世代とされるが、翻ってニッポン。この重苦しい時代に若者たちは一向に立ち上がる気配を見せないが--。【平野幸治】 ◇「おとなしい」……酷ですよ ◇一人一人分断され孤独 ◇体制批判より「新しいもの」志向 東京大学の安田講堂。60年安保から続いた学生運動は、ここを舞台にした1969年1月の警察との攻防でハイライトを迎えた。建物に残るおびただしい傷はその名残だろうか。 カップルが歩いていた。 「中東の革命に触発されて何かのデモに参加してみたいと思わない?」 「どうでしょうねえ……。火炎瓶とか武力を使うのは、よくないかな。誰かを傷つけちゃ、運動の意味がない。僕はもっと違うかたちで世の中を変えてみたいですね」 なるほど東大生らしいというべきか。知的で、ど