政策研究大学院の安田洋祐氏が『「円」とビットコインも同じ』と言うエッセイを朝日新聞に載せていた。教科書的なミクロ経済理論だと貨幣はニュメレール財*1でしかないのでこういう話になるのだと思うし、理論的に貨幣のある経済は、貨幣に価値のある定常状態と、貨幣が無価値の定常状態の二つの均衡のどちらかで安定する*2ことを上手く紹介していると思うのだが、銀行屋さんから違和感があると言う感想が出されていた。確かに現実に使われている通貨とビットコイン(Bitcoin)の間には、実務上、大きな違いがある。 1. ビットコインは長期的に貨幣量が減少していく 意外に思うかも知れないが、ビットコインは「円」よりも「金」に近い。ビットコインはマイナーが取引履歴を蓄積し手数料を得て、その情報をもとに採掘を行う仕組みになっているが、埋蔵量に上限がある*3からだ。私鋳銭と同じに見る向きもあるが、私鋳銭と異なり発行者は発行量