(英エコノミスト誌 2014年5月10日号) ウクライナ問題を巡るロシア大統領の予想外の譲歩は、大統領がウクライナで欲しいと思っていたものの大半を既に手に入れたという事実を反映している。 サスペンススリラーでは、タイミングがすべてだ。緊張感が高まり、音楽がどんどん大きくなり、最悪の事態が迫り来る――そして突然、緊張から解放される。 5月7日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、そんな瞬間を演出した。対立を煽り、極限まで緊張を高め、侵攻すると脅した末に、潔く譲歩したのだ。 ウクライナ東部地域の独立を問う非合法な住民投票は延期されるかもしれないし*1、5月25日に予定されている大統領選挙は実施されるかもしれない。そしてロシアは、ウクライナとの国境近くに配備していた軍隊を撤収することになるだろう。 情報戦争に勝ちつつあるプーチン大統領 プーチン氏は、望んだものをほとんど手にした。クリミア併合