経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。中外製薬は「AI創薬」で有力な抗体を選ぶ期間を3分の1以下に短縮した。 中外製薬は小坂達朗会長最高経営責任者(CEO)が自らDXを推し進める。デジタル部門トップの招へいや組織変革など、社内の風土改革に力を注ぐ。 2020年3月、DXの新戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を発表した。デジタル技術を駆使してビジネスを変革し、「社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターとなる」との目標を掲げた。それに先立つ2019年10月に組織を再編し、「デジタル・IT統轄部門」を発足。同部門のトップに、日本IBMの執行役員だった志済聡子氏を小坂会長が自らヘッドハンティング