日露戦争でロシア騎兵が優勢だったことは間違いない。例えば、奉天会戦に参加した騎兵部隊の数は、日本の58個中隊(1個騎兵中隊は163人)に対し、ロシアは151個中隊であった。 さらに、ロシア騎兵の主力は有名なコサック騎兵だった。コサックとは、ウクライナやロシア南部の広大な平原地帯に存在した軍事共同体のことだ。乗馬が生活の一部であった上に、イスラム勢力との戦いの最前線に位置していた関係で騎馬戦闘に長じていた。つまり、質的にもロシア騎兵は日本を凌駕していたのである。 歴史小説では、日本軍がいかに劣勢だったかを強調する材料として、この騎兵戦力の差を取り上げることが多い。その一方で、ロシア騎兵が実際に日本軍を苦しめた場面を記憶している読者はあまりいないだろう。それもそのはずだ。ロシア騎兵の活動は、戦局にほとんど影響しなかったのである。 ナポレオン時代の騎兵は戦場の花形 日露戦争をさかのぼること100
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