どの会社も顧客のニーズを掘り起こし、顧客の期待に応えようと躍起になっている。にもかかわらず、空回りしているところが少なくない。組織全体が顧客のほうを向いて行動するために、最低限必要なこととは。 多くの企業幹部やマネジャーが、顧客をあらゆる行動の中心に据えるよう部下に説いている。だが、彼らの言葉に込められた強い情熱や確信にもかかわらず、彼らの組織の中では、真の顧客重視(カスタマーフォーカス)は実践ではなく理論に留まっている。 「企業は内向きになりがちで、ともすると顧客が経験していることではなく自分たち自身の活動に注目してしまう」と、コロンビア大学の経営学准教授で、『市場破壊戦略――競争ルールを激変させる40の戦術』の共著者、リタ・ギュンター・マグレイスは言う。「当人たちは顧客に目を向けているつもりなのだが、本当はそうしていない」。 その事例として、マグレイスはある工業資材メーカーの体験を挙げ
自分だけの知識や経験に頼ることは、非効率的なだけでなく、ときには重大な危険をもたらすこともある。 文=ロバート・B・チャルディーニ 翻訳・ディプロマット 機長症候群の教訓 リーダーが「1人でやる」ことから生じるもう1つの失敗は、「機長症候群」と呼ばれるものだ。これは、リーダーが1人で全責任を引き受ける傾向から生じるものというより、チームのメンバーが自分たちの責任を放棄する傾向のことを指している。 複数の操縦士が乗務する航空機で、機長が明らかに間違った判断を下したとき他のクルーがミスを正さなかったことが原因で、過去に悲惨な事故が何度も起きている。 1982年にワシントン・ナショナル空港の近くで離陸に失敗した航空機がポトマック川に墜落して、78人の死者を出した事故があったが、この航空機のフライトレコーダーには次のような会話が記録されていた。 副操縦士 翼の氷をもう1度チェックしましょう。しば
企業構造の細分化や成果主義、ダイバーシティなどの観点から現在、考えられる理想の人事を、筆者が検証する。 一橋大学大学院商学研究科教授 守島基博=文 平良 徹=図版作成 日本企業では個別人事が中心であったが、労働環境の変化でその有り様も変遷を辿っている。企業構造の細分化や成果主義、ダイバーシティなどの観点から現在、考えられる理想の人事を、筆者が検証する。 人事部の真骨頂は異動の場面における判断だった 人材マネジメントの理想形は、個別人事である。つまり、一人ひとりの個性や適性、能力、希望などに合った人事を行う。それが最も望ましい。そんなことはとても無理だという声も聞こえよう。でも、実際、多くの企業で、経営に近い上層人材や、企業にとって絶対必要な専門性やスキルをもった人材については、個別人事を行っている。経営層、組織にとって最も重要な人材群については、これまでも個別人事だったのである。また、規
文具業界という成熟市場。さらに、少子化という厳しい環境で、三菱鉛筆は、なぜヒット商品を生み出せたのか。 早稲田大学社会科学総合学術院教授 野口智雄=文 文具業界という成熟市場。さらに、少子化という厳しい環境で、三菱鉛筆は、なぜヒット商品を生み出せたのか。「機械屋さん」と「マーケッター」の妥協なき商品開発の現場をレポートする。 ニーズの萎えた成熟市場で大ヒットを出すには 成熟市場においてヒット商品を出すのは難しい。生活に必要な商品はすでに出そろっているので、消費者自身、「こんなモノがあればいいのに」と、強く求める「欠乏感」がなくなっているからだ。日本の消費市場は現在、総じてこのような「ニーズの萎えた」状態にある。 文具業界もこの例に漏れない。伝統産業の筆記具の市場規模(国内)は、約1000億円といわれるが、近年頭打ち状態が続いている。そして今後、少子化の影響をモロに受け、さらなる先細りが懸
有能な社員が会社を去る要因についてはあれこれ言われているが、彼らを留まらせる要因にも目を向けてみるべきだ。 文=ローレン・ケラー・ジョンソン 翻訳・ディプロマット 有能な社員が会社を去る要因についてはあれこれ言われているが、彼らを留まらせる要因にも目を向けてみるべきだ。それらを強化することで、定着率が高まるかもしれない。 今後、労働力人口が減少傾向にあるなかで、トップクラスの人材を維持することは、この先10年の企業の重要な競争要件である。組織、そして各マネジャーは、そうした人材を確保するためになにができるだろうか。 社員が辞める理由について考えるのではなく、留まる理由に注目しようと、ジョージタウン大学経営大学院の経営学助教授、ブルックス・C・ホルトムは言う。離職を誘発する施策と残留を促す施策を識別できない企業は、優秀な人材を引き留めておくために、効果のない方法をとってしまう危険性がある。
新発想でヒット商品となったが、当初は予算がほとんどなく、人手が足りないなかで製品化に向けた開発が進められた。それだけに開発に参加したメンバーには愛着もひとしお。会社にとっては嬉しい誤算だ。 「最近、キレイになるヒマがない。」 昨年冬、こんな刺激的なコピーが書かれた車内広告があった。電車のドアに貼られた新製品の小さな広告だったが、思わずドキリとさせられた女性が多かったのではないだろうか。 仕事に、プライベートにと働く女性は忙しい。その分、肌の手入れに割く時間はどんどん少なくなっているという。それは、「これじゃマズイな」と思う女性がどんどん増えていることの裏返しでもある。広告のコピーは、その心理を見事に突いたものだった。しかも、刺激的なコピーより一回り小さな文字で、「寝ながらエステ」などとも書いてあるのだから、もう気になってしかたない。 多くの女性が、おそらく瞬時に反応したであろうその広告の新
熱心に読むのは企業面と消費面。企業の動向や新製品情報は、たとえ短い記事でも、ビジネスアイデアの宝庫。 エクスアールコンサルティング代表 板橋 悟 構成=大塚常好 毎朝読む新聞から何を得るか。仕事で結果を残す人は、「読み方」「ビジュアル化」に独自のメソッドがあった──。『「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力』の著者が、情報を仕事のアイデアへ繋げる図解術を指南する。 日経新聞に毎朝、目を通すこと――。もはや、それはビジネスマンのノルマであり、理論武装の手段でもあります。職場の上司・同僚とも、顧客とも、日経の記事を介して仕事の話や雑談をする。情報交換もする。しかし、そのレベルで終わっては、購読料の対価を半分も得られないでしょう。 私もかつてはそうでした。きっかけは、リクルートに在籍していたころ、ある経営者に言われた「何のために日経を読んでいるのか」という言葉。それ以来、私は人に会うた
新しいアイデアが生まれ、考案され、価値を付加するイノベーションへと育てられる労働環境を築くために、リーダーには何ができるのか。 文=ジュディス・A・ロス 翻訳・ディプロマット おなじチームでも労働環境が変わるだけで創造性が開花したり枯渇したりすることがさまざまな調査で明らかになっている。チームの創造的思考能力を高めるためにリーダーは何をすべきか。 新しいアイデアが生まれ、考案され、価値を付加するイノベーションへと育てられる労働環境を築くために、リーダーには何ができるのか。 何よりもまず、イノベーションは製品やサービスに限定されたものではないことを肝に銘じよう。戦略論の権威でロンドン大学経営大学院教授のゲーリー・ハメルが、先般の「フォーチュン・イノベーション・フォーラム」の基調講演で指摘したように、新しい製品やサービスの創造は、組織がその業績を高める方法をイノベートするための一手段にすぎな
「自分を成長させるべく努力」とは何なのか?まさに「選ばれるコンサルタント」になるためにすべきことです。 スカイライト コンサルティング代表取締役 羽物俊樹 今回と次回(最終回)は、まとめも兼ねて「『選ばれるコンサルタント』になるための心構え」と「『選ばれるコンサルタント』になるためにやるべきこと」をお話する。 「選ばれる」=「売れる」? コンサルタントとして「選ばれる」ということは、経済的な成功をも意味します。経済的に考えると、「選ばれること」は「売れること」です。「選ばれ続ける」ということは、「売れ続ける」ということ。売れ続けられれば、大きな金銭的価値を継続して受け取ることができます。 では、しきりに売り文句を並べれば成功するかというと、そうはいきません。売り文句が効いて、一時的にコンサルティングサービスが売れるときもあります。でも、売り文句の工夫だけでは、長続きしません。結局のところ
よく「利益率が同じなら収益力は同じ」というが、それは間違いだ。ここでいう利益率としてよく使われるのは売上高経常利益率である。図表のように同じ売上高・経常利益のA社とB社があったとしよう。売上高10億円、経常利益5000万円なら、利益率は5%だ。しかし、両社の収益力は同じではない。 これはあくまでも一時点の静態的な数字だからなのだ。図表を見てほしい。同じ売上高・経常利益でも、2社の変動費と固定費は異なる。ここでは、A社は比較的変動費が少なく、固定費が多い。B社はその逆だ。 これによって何が違うかというと、それは損益構造である。売上高が増減したときの利幅のブレは、固定費型のA社のほうが、変動費型のB社よりも大きい。ちなみにA社の場合、売上高が10%増えると経常利益は9000万円となり、増益率は80%。反対に10%減ると1000万円、マイナス80%となってしまう。いわばハイリスク・ハイリターン型
最近テレビコマーシャルで目立つ会社の一つが「お値段以上」がキャッチフレーズのニトリである。ライターとして四半世紀以上もあらゆるものの値段やその仕組みを探求する“値段探偵”を生業としてきた身としては興味を持たざるをえない。聞けば「22期連続増収増益」というからますます好奇心は募る。 こんな場合の私の流儀はまず、現場に行くことだ。 イオン津田沼店内のニトリは、3階の奥にかなり広いスペースを持っていた。14インチのテレビで、「お値段以上」のキャッチフレーズを流している入り口を通り抜けて店内を一巡する。大型家具を扱っていない店なのでGMS(総合スーパー)の寝具売り場の雰囲気だ。並んでいるものはどれも格安。 実際にニトリの製品を買った人の印象はどうなのか。 「キッチン用のラックや小物を利用していますが安くて使い勝手が良く、重宝しています」と話すのは30代前半のキャリアウーマンの女性だ。彼女は、「デザ
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