昔むかしあるところに桃が流れてきました。 桃はひとりでに割れ、中からお爺さんとお婆さんと桃太郎と犬猿キジと死んだ鬼と金銀財宝がでてきて、幸せに暮らしましたとさ 息子の学校へ忘れ物を届けに行ったとき、 学校は中休みで、子供達は校庭で遊んでいた。 正面玄関を抜けた所にある花壇で、軽い障害のある子が、 上級生に囲まれて泣いていた。その中のリーダー格の一人が 「やれよ、時間がねえんだよ。やんなきゃ殺すぞ。」と凄んでいた。 頭にヘッドギアをつけた、おそらくは肢体不自由の他に知的障害もあるであろう、 特殊学級の男の子が、しくしく泣いているその姿に勝ち誇るかのように、 そう言い放っていたのは、俺の息子だった。 俺は背後から息子の髪を掴んで地面に叩きつけた。 まさかここにいるわけのない父親の顔を見て、信じられない表情の息子の 胸ぐらを掴んで立たせて、顔面を殴った。 生まれて初めて親父に殴られた恐怖に、顔を