ネット普及、情報細分化 網羅不能な時代に 虚構が現実を“予言” 今月18日、第132回芥川賞を受賞する阿部和重氏(36)は、電子メディアの普及が人間の精神を揺るがしていった現実を、先取りするように書いてきた。受賞を機に、デビュー後の10年を氏と共に振り返った。(尾崎 真理子記者) 多くの書店では今、5冊の文庫、上下巻の『シンセミア』、映画評論などが一斉に「祝・芥川賞」の帯をまとって並ぶ。著作の多さが、もはや新人でない何よりの証拠だが、「芥川賞で大々的に消費されるまでに、10年かけることが出来た。これで良かったのかもしれません」。 94年5月、群像新人文学賞の授賞式。柄谷行人氏は25歳の映画青年が書いた『アメリカの夜』に、上機嫌だったのを思い出す。続いて蓮實重彦氏が新聞で絶賛。 「経済のバブルは崩壊していたのに、まだ出版界には余勢があった。エクリチュール、記号との戯れが批評家には面白がられ、
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