八百長問題で中止となった3月の大相撲春場所は、本来なら28日が番付発表日だった。しかし本場所がなければ、それも行われない。「とにかく悲しいし、寂しい」。4年前から番付表の書き手を務める幕内行司、木村恵之助(49)=本名洞沢裕司、東京都出身、九重部屋=は嘆く。自らの“作品”を世に出せない心境を27日に語った。 番付表は縦110センチ、横80センチのケント紙に行司が筆で書き、縦58センチ、横44センチに縮小したものを番付発表日に各部屋へ配布。一般販売分も含め、1月の初場所では約45万7千枚が印刷された。 木村恵之助は字の小さい幕下以下から先に筆を執り、最後に幕内と十両を書くという。完成までは約2週間。東京都内の自宅で1日8時間、筆を握る。今回は1月下旬から作業を始め、春場所中止が決まった2月6日には幕下から序ノ口までを書き終えた。「力士が本場所を目標に稽古をするように、行司も場所に向けて字を書