東京地検の担当検事から精神鑑定結果について説明を受ける湯浅洋さん=東京都江東区の自宅で2008年10月6日、神澤龍二撮影 東京・秋葉原の17人殺傷事件から約4カ月。休日の歩行者天国を襲った加藤智大被告(26)の凶行に、17人の被害者と遺族らは今も苦しみ続けている。 6月8日。東京都江東区のタクシー運転手、湯浅洋さん(54)は、加藤被告のトラックにはねられた人を救助しようとして刺された。意識を失い、目覚めたのは4日後。長男祥人(あきひと)さん(27)ら子供3人がのぞき込んでいた。「何だ勢ぞろいして」。ダガーナイフは横隔膜に達し輸血量は6リットル。「腸に達していたら死んでいた」と告げられた。 宮崎県内の高校を卒業後に上京。10年間、ホテルで料理を修行し、29歳で地元に戻りカレーショップを開いた。しかし1年で失敗。親族から借金し、長女のミルク代にあてた。運転手に転じて生計を立て、今も貯金を取り崩