ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会のメディアセンターのハンバーガーは、まずい。パンも無駄にサイズが大きく、ぱさぱさ。ポテトは舌の感覚がなくなるほど塩辛い。そんな代物に、せっせと60ランド(約700円)を払っている。 ヨハネスブルクの定宿から、おなじみのチェーン店が見える。黄色の「M」。24時間営業となっているが夜は危険だろう。でも、昼なら…。仕事道具はホテルに預け、50ランド札をポケットにねじ込んでホテルの敷地を出ようとすると声が掛かった。「ミスター、どこへ行くんだ? 」 「あそこのMへ」「その格好で1人で? 」「そうだけど」「やめとけ。遠すぎる」。すぐそこに見えるのに…。いつも暇そうな警備員のエリックが真顔だ。カモがネギを背負って行くようなもの、という内容を南アなまりの英語でまくし立てている。説教を7分ほど拝聴し、あきらめた。 エリックは無鉄砲な日本人の身を思い、路上強盗の手口を