仙台市青葉区の繁華街の一角に、全国から人を引き寄せる履物店がある。1934年創業の「むかでや」。広さ30坪ほどのこぢんまりとした店がにわかに注目を浴びるようになったウラには、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の存在がある。 シリーズ累計発行部数が1億冊を超える「ジョジョの奇妙な冒険」。その第4部は、仙台市がモチーフとされる「杜王(もりおう)町」が舞台となっている。その中で、「むかでや」をモデルにした「靴のムカデ屋」が登場し、重要な役割を果たす。店主に上着のボタン付けを依頼した殺人鬼・吉良吉影を主人公たちが追い詰め、店内で緊迫した白熱のバトルを繰り広げる。ハラハラドキドキのシーンが描かれ、第4部の名場面の一つとして数えられている。 この店をファンが訪れるようになったのは1997年ごろ。「領収書を書いてください」。来店した20代半ばの男性が買い物を終えた後、2代目店主の林篤男さん(75)に領収書