世間的には2020年の出版業界と言えば『鬼滅の刃』一色だが、業界内的にはほかにも大きな出来事がいくつもあった。特に「本をいかに届けるか?」をめぐる問題が重なった年だった――今年を振り返っていこう。 ■新型コロナウイルス感染症流行で全国の書店が営業自粛 4月7日に緊急事態宣言が発令され、16日には対象地域を全国に拡大、5月25日に全国で解除されるまでの期間、書店も営業自粛(休業、時間短縮)となることが少なくなかった。 これまで地震や台風など自然災害に伴い一部地域で休業・時短営業となることはあったが、全国的に、というのはおそらく初めてのことだろう。 アルメディアの調査によれば、2020年5月1日時点の書店数は1万1024店(前年比422店の減少)。このうち売場面積を持つ店舗は9762店と実質的には書店は1万店を下回った。おそらくこのあと、多くの飲食店同様、コロナ禍が決定的な一撃となった書店も少