解説 上皮性卵巣癌の40%を占める漿液性癌は、短時間で進行がんになるため、検診は有効ではないといわれている。これをタイプ2卵巣癌と呼んでいる。一方、残りの40%を占める類内膜癌、明細胞癌は子宮内膜症からゆっくり癌化し、ほとんどがI期癌として発見され、タイプ1卵巣癌と呼ばれている。タイプ1は子宮内膜症からの発がんの可能性が指摘されており、今回は主にタイプ1について、臨床的な観点から解説する。産婦人科医としては、臨床的には以下の点に注意して経過観察することが望ましい。 奈良県立医科大学 小林 浩 プロフィール 奈良県立医科大学産婦人科学教授 福島県郡山市生まれ 婦人科腫瘍学(転移抑制、子宮内膜症性嚢胞の癌化、他多数) 周産期医学(切迫早産の予知と治療、新規デバイスの開発など) 母体保護法指定医、医学博士 基礎研究 【略歴】 昭和55年 浜松医科大学医学部医学科卒業 昭和62年 医学博士 平成元