ブックマーク / honz.jp (25)

  • 『コロナの時代の僕ら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? - HONZ

    では4月24日発売予定の、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ*によるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文が期間限定で公開されていたので、早速、読んでみた。 このエッセイは、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えた2月下旬から3月下旬に綴られたものだという。著者は、このの印税収入の一部を、医療研究と感染者の治療に従事する人々に寄付することを表明しているそうである。 人間は過去を忘れることによって生きている。5千万人から8千万人の命を奪ったと言われる第二世界大戦の記憶でさえも、年月の経過とともに風化していき、今やほとんどの人にとっては忘却の彼方である。 だから、「まさかの事態」はまだ始まったばかりなのだが、もしも我々が記憶に留めようと努めなければ、すべてが終わった時、今回のコロナウィルスのことも簡単に忘れ去られてしまうだろう。でも、そうすることによって、我々は当に以

    『コロナの時代の僕ら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? - HONZ
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    trclibgw 2020/04/16
  • 文学を語ることばで科学を語る。『科学する心』 - HONZ

    「あまりに面白くて一晩で一気に読み終えました。この広大なテーマでエッセイを書ける人は他にいません」。池澤夏樹・著『科学する心』の帯に書かれた吉川浩満さんの推薦文です。文学者のことばで科学を語るエッセイ集として話題になっている『科学する心』。このの刊行記念として、三省堂書店池袋店の主催で行われた池澤夏樹さんと吉川浩満さんの対談イベント(4月25日)の模様をダイジェストでお届けします。(HONZ編集部) 池澤:今日はまず、吉川さんに御礼を言わないといけません。このを出す前に、何かとんでもない間違いをしているんじゃないかと心配になって、ゲラをお送りして、目を通していただきました。いわば学術的な査読をお願いした。実際、あちこちにあった間違いを教えていただき、そのおかげで無事に出版できました。大変ありがたいことでした。 吉川:すごく面白くて、一晩で一気に読みました。すぐに編集の方にメールを送っ

    文学を語ることばで科学を語る。『科学する心』 - HONZ
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    trclibgw 2019/06/04
  • 『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ

    精巣が体外に出たわけ 「オギャー」と産声をあげて母乳を求めたことなどとんと思い出せないように、わ たしたちは自分が哺乳類であることも日頃すっかり忘れている。でも、紛れもなく 哺乳類の一員で、だからこそ人生は“哺乳類生”でもあるのだ。わたしたちの生命 の大きなサイクルは、そのまま哺乳類のスタイルに深く根ざしている。 それなのに、わたしたちは哺乳類が「どこから来て、どのように今の姿になったの か」、その“進化の鍵”をまだ解き明かしてはいない。書は最新の知見を盛り込 みながら、こうした謎に挑んでいく。 著者はサイエンスライターにして、神経生物学の博士号を持ち、ロンドン大学ユニ バーシティ・カレッジとコロンビア大学で12年間も哺乳類の脳などの研究に携わっ てきた。うってつけの名ガイドだが、私的な体験(子どもの誕生、サッカーのゴー ルキーパー、森の思い出など)もまじえることで、親しみやすく楽しい読

    『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ
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    trclibgw 2019/06/04
  • 『海の歴史』未来は宇宙よりも海 - HONZ

    海から眺める人類史を一冊にしたで、海好きにはたまらない内容だ。海については、生活・科学・文化・物流・軍事などの様々な視点から数多くの書籍が出版されているが、これまで海の歴史を網羅的かつ包括的にまとめた書物はほとんどなかった。今回その壮大な歴史をまとめあげたのが、知の巨人ジャック・アタリ。壮大な世界観の歴史書を書かせれば彼ほどの適任者はいない。 書は、130億年前の宇宙と水の誕生という地球科学から始まり、動物や人類の誕生という生物史、ローマ帝国や中国王朝という権力者による海の支配史、蒸気船やコンテナ船という海を舞台にしたビジネスイノベーション、海を中心に広がる環境汚染問題と多岐にわたる題材を取り扱う。それぞれのトピックで一冊のが仕上がるほどの内容が、一冊に詰まっているのだ。 「人類の将来にとってより重要なのは、宇宙の探査よりも海だ」と著者は強調する。たしかに書のように海という視点から

    『海の歴史』未来は宇宙よりも海 - HONZ
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    trclibgw 2018/11/16
  • 『土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話』 - HONZ

    書はデイビッド・モントゴメリー著“Growing a Revolution”の全訳であり、『土の文明史』『土と内臓』(ともに築地書館)に続く三部作の完結編である。三作はいずれも、人間社会とそれを包括する文明と環境を、「土」という共通の切り口で解読したものだ。 一作目『土の文明史』では、世界の文明の盛衰と土壌の関係を。世界中のさまざまな時代と地域を検証した著者は、土壌が文明の寿命を決定し、土を使い果たしたとき文明は滅亡するという結論に達した。現代文明においても、農業生産性を上げるために化学肥料や農薬、機械力を集中的に投入するほど、土壌は疲弊し、やがては生産に適さなくなる。しかし化学製品の投入量を抑え、土壌肥沃度を高めながら、今後の人口増加に対処して糧を増産するような方向へと転換することは可能なのだろうか。われわれの文明が滅亡を回避するための道として、土の扱いを変えることを提唱しながらも、

    『土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話』 - HONZ
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    trclibgw 2018/09/04
  • 『酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅』「食」から人類の歩みを知る - HONZ

    原書のタイトルを直訳すると「過去を抜栓する」。酒と人類の壮大な物語を描いただから、いかにも香り立つようでおしゃれだ。翻訳タイトルは『酒の起源』。もちろん『種の起源』のオマージュだ。こちらも素敵。 版元の白楊社は2016年に『酒の科学』というを出版していた。こちらの原書タイトルは「プルーフ」。プルーフにはアルコール度数だけでなく、印刷前のゲラという意味もある。こちらもウィットに富んでいて楽しい。 酒をテーマに選ぶ研究者や編集者たちは、酒に酩酊効果だけではない、アートを感じ取っているからかもしれない。タイトルがおしゃれというだけでなく、文もグラスを片手にゆったりと読めるように工夫されている。書も例外ではなく、要所に図版や地図が使われていて、考古学者とともに世界を旅している気持ちになる。 『酒の起源』は中国、チグリス・ユーフラテス、中央アジア、地中海、新世界、アフリカという世界史に現れて

    『酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅』「食」から人類の歩みを知る - HONZ
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    trclibgw 2018/07/27
  • 『ノモレ』未知の先住民イゾラドとの100年越しの再会 - HONZ

    知らないことを知りたい。見たことのないものを見たい。そういう好奇心がなくなったら、人生お終いだと思っている。しかし好奇心が生み出す無邪気さは、時に歓喜と絶望の両方を生み出す。そんなことを痛感させられる一冊だ。 かつてNHKスペシャルで放映された「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」を記憶されている方も多いことだろう。イゾラドとは、文明社会と未接触の先住民を言い表す総称である。アマゾン源流域、ブラジルとペルーの国境地帯に住むとされるイゾラドは、部族名や言語はもちろんのこと、今何人いるのかも分からない状態であるという。 番組では、素っ裸で弓矢を持つイゾラドに村人たちが接触する様子が映し出され、その光景には衝撃を受けた。この時に、チョイ役のような感じで登場していたロメウ。彼こそがイゾラドを理解するための重要なキーパーソンであり、書の主人公だ。 ロメウは、ペルーの先住民・イネ族の出身であった。

    『ノモレ』未知の先住民イゾラドとの100年越しの再会 - HONZ
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    trclibgw 2018/07/11
  • 『蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』 - HONZ

    ハチやアリの毒針は、そのライフスタイルを映し出す鏡らしい。ひとくちにハチ・アリ類と言っても、じつに多彩で、みな独特の生き方をしている。しかし、その毒針の機能は、見事なくらいその生存戦略にぴったり合っているのだ。毒針の痛さとライフスタイルの、切っても切れない関係について語ったのが書である。 書の著者は、虫刺されの痛みのスケール(尺度)を作った功績で2015年にイグ・ノーベル賞を受賞した、ジャスティン・シュミット博士である。1947年生まれ。昆虫毒の化学的性質の専門家だ。2006年まで、米国農務省のカール・ヘイデン ミツバチ研究センターに勤務し、現在は、アリゾナ大学でハチ・アリ類やクモ形類の化学的および行動的防御機構の研究を行なっている。 シュミット博士によると、虫刺されという現象の基特性は2つ、痛みと、生体に対する毒性だという。そのうち、生体毒性のほうは数値化しやすいが、痛みは主観的な

    『蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』 - HONZ
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    trclibgw 2018/07/11
  • 360年続く出版社を訪ねて 〜後編〜 - HONZ

    360年続く稀有で貴重な出版社に乗り込んだHONZ! 大火に見舞われながらも続いてきた版元、その名は「檜書店」。能の謡を出し続けてきた。江戸時代の大、大、大ベストセラーとなった「謡」とはどんなものなのか。檜書店の内部にさらに迫ってみよう。久しぶりの出版社訪問レビューは続く。(※前編はこちら) ここで、実際に謡を見せてもらうことにしよう。 檜 これです。『高砂』の謡と小謡です。こういった和綴じを今も使っているのは、仏教関係や、邦楽関連、そして、能の謡くらいだと思います。 H 確かにそうですね。印刷をした和紙を束ねて、右側の部分を糸で手作業で綴る、というものですね。美しいですね。この表紙のマークは……? 檜 これは「観世千鳥」といって、観世大夫が将軍から拝領された、能の面を入れる「面箱」にあった模様です。 H 薄い布が、背の部分についていますね。 檜 「角裂れ」と呼び、の補強の

    360年続く出版社を訪ねて 〜後編〜 - HONZ
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    trclibgw 2018/02/26
  • 360年続く出版社を訪ねて 〜前編〜 - HONZ

    の出版社の数は3370社もあるそうだ。数は最近減ってはいるものの、それでもまだまだ世界的に見れば、出版活動が盛んな国だと言えるだろう。そんな出版社の中で一番古いのはどこか? と言われれば諸説あるのだけれど、360年続くという出版社が東京にあり、しかも書店を開いている! と聞き及び、これは行かねばなるまいぞ。ということで、今回は久しぶりの出版社訪問レビューだ。前後2回、よろしく~。 さてさて、やってきたのは東京、都営新宿線の小川町の駅からすぐのこちら。御茶ノ水や神保町の駅からも歩いていける便利な場所だ。

    360年続く出版社を訪ねて 〜前編〜 - HONZ
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    trclibgw 2018/02/26
  • 『運慶への招待』一門を纏める仏師 - HONZ

    2017年11月、東京国立博物館にて開催された運慶展は入場者数が60万人を超え終了した。 運慶といえば平安末期~鎌倉時代にかけて活躍した仏師だ。東大寺南大門の金剛力士立像はその代表作だが、全身で8m以上もある。重さは7t。制作年は1203年と制定され、つまり800年が経過しているが、今だもって見る者を畏怖させる。当時の人達は阿吽の仁王から凝視されたら、度肝を抜かれただろう。 それにしても驚くのは、仁王2体を69日間で完成させていることだ。もちろん運慶ひとりではなく、慶派工房という集団で制作している。運慶はルネサンスの工房よろしく、漆や金箔を貼る塗師や採を施す絵仏師など分業制の総監督でもあり、高い統率力もを持ち合わせていた。 書は運慶の入門解説書である。運慶関連のは展示会のガイドブックを含め多数出版されているが、書は実際の作品をフルカラーで眺めながらも見どころを抑えている。B5サイズ

    『運慶への招待』一門を纏める仏師 - HONZ
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    trclibgw 2017/12/11
  • きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』 - HONZ

    韓国の首都ソウルでは、いま空前のブームが起きている。「独立書店」と呼ばれる個人開業の書店が週に1軒は生まれ、「独立出版物」と呼ばれる個人出版のも、1日1冊のペースで出版されている。 一体なぜこんなムーブメントが起きているのか。学歴社会、就職難と非正規雇用、晩婚化と高齢化など、様々な共通した社会問題を抱える日韓国だからこそ、学べることがあるのではないか…。 そんな問題意識から、下北沢にある「屋B&B」の共同経営者・内沼晋太郎氏と、朝日出版社で編集職を務める綾女欣伸氏が、ソウルの書店主や編集者など新世代20人にインタビューを行なったのが書である。 「への愛」から生まれたユニークな書で紹介されているにまつわる人々は実に多様だ。 詩集の専門書店「wit n cynical(ウィットンシニカル)」を立ち上げた若き詩人ユ・ヒギョン。自分が大好きなミステリーだけに囲まれたいと、2

    きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』 - HONZ
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    trclibgw 2017/10/11
  • 『たいへんな生きもの』問題を解決するとてつもない進化 - HONZ

    生きることは問題だらけだ。 仲間との競争あり、べ物にありつけなければ明日はなく、絶えず捕者に狙われ、もちろん愛のお相手も見つけなくちゃ…… いま地球上に棲息している生きものは、こうした問題を、進化の途上で解決してきた「つわもの」揃いだ。——(といっても、生きもの自らの意思によって解決したわけではなく、 たまたま変異によってうまくいった結果なのだが)—— その解決策には、人間から見ると実にオドロキで、奇想天外、恐怖と感涙と爆笑がともに襲ってくるようなものまである。 書は、そんな中でも「とてつもない」やつだけを選び抜いた傑作集だ。たとえば、こんな生きものが…… 後の死骸を背にしょって サシガメというカメムシの一種は、獲物に近づき、長く突き出た口を突き刺す。そして相手をマヒさせる毒を放って、その体液を飲む。 もちろん、獲物のほうも、そう簡単には

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    trclibgw 2017/10/02
  • 『音楽と沈黙 1』 - HONZ

    無謀にも30年戦争に介入して一敗地にまみれたデンマーク王、クレスチャン4世。戦で親友をも亡くしローセンボー城で塞ぎこむ王のもとに、イングランドから美貌のリュート奏者ピーターが訪れる。王はピーターを天使かと見紛い、亡き親友の面影を夢見てピーターを囲い込む。 音楽が好きな王は宮廷楽団を抱えているが、楽団は沈黙の地下のワイン貯蔵室で演奏し特殊なパイプを通じて王の謁見室に妙なる調べが流れるようになっている。王は訪れる人々を驚かせることによって慰めを見出しているのだ。 若い王妃、キアステンの心はとっくに王から離れている。キアステンはドイツ人貴族と密通し官能に溺れている。富裕な地主ヨハンの娘、エミリアは末の弟マークスが生まれた直後に母を亡くす。エミリアとマークスは好色な継母マウダリーナに馴染めないが、愛欲の虜となったヨハンはキアステンの侍女として邪魔になったエミリアを奉公に出す。残されたマークスの痛々

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    trclibgw 2017/08/07
  • 『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』20世紀の食を発展させたのは「ミリ飯」の技術開発だった - HONZ

    ミリ飯。小さなご飯という意味ではない。ミリタリーすなわち軍隊で支給される携行のことである。海軍や空軍はそれぞれ艦内や基地に厨房があるため、いつも温かい事が摂れる。しかし、野戦を主とする陸軍は兵士が自分の料を携行する必要がある。 そのため、料はできるだかぎり小さく軽く、しかも日持ちする必要がある。陸戦が主力だった戦国時代には干飯や焼味噌などを陣中として腰に下げていた。現代の陣中すなわちミリ飯はどのようなものだろうか。 陸上自衛隊では赤飯やマグロ煮の缶詰、レトルトパウチに入った白飯やチキントマト煮などが支給されている。缶詰の誕生に深い関わりがあるのは、18〜19世紀に活躍したナポレオンだった。当時はガラスの瓶詰めだったが、やがてブリキ缶が発明され、現代のスーパーマーケットにも缶詰コーナーがあるほど発達した。 いっぽうのレトルト品は20世紀のアメリカ陸軍によって発明された。ネイティ

    『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』20世紀の食を発展させたのは「ミリ飯」の技術開発だった - HONZ
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    trclibgw 2017/08/07
  • 『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 コロンバイン高校銃乱射事件。1999年4月20日、コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ。発生から15年以上が経った今なお学校銃乱射事件の代名詞的存在とされるのは、犯人であるエリックとディランがそれぞれ卒業を間近に控えた、18歳・17歳の少年だったという若さだけが理由ではない。 2年以上をかけて準備されていた計画の周到さ。そして、何百人もの生徒たちでにぎわう昼時のカフェテリアを爆破するという残虐な構想。計算ミスや完成度の低さにより爆弾は不発に終わったものの、実際の被害を遥かに上回るその計画の大きさは、人々の間に驚きと恐怖の渦を巻き起こした。 言うまでもなく、この事件を題材にして過去に多くのが書かれ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ
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    trclibgw 2017/07/25
  • 『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった - HONZ

    「出勤日も、出勤・退勤時間も自由」 「欠勤の連絡をしなくてよい」 「嫌いな作業はやらなくてよい。好きな作業だけやればよい」 著者の武藤北斗さんが経営している水産加工会社のルールである。こんな職場、当にあるの? のっけから驚かされる。理想主義も行き過ぎて、意識高い系の実験的な試みはいいけれども「生き生き働く笑顔」のうらになにか無理が潜んでいるんじゃ…。などと恐る恐る読み始めたのだが。 とにかく徹底している。その日出勤するかしないかは各人の自由なのだが、行くか行かないかを連絡する必要すらないのだという。というか連絡は「禁止」なのだ。なぜなら「好きな日に休んでいいよ」といいながら「だけど連絡はしてください」だの「事前に報告してください」だのと言えばやはり管理されているように感じるだろうし、無言のプレッシャーをかけることもできることになってしまって、ルールが形骸化するからだ。たしかに「うちは福利

    『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった - HONZ
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    trclibgw 2017/07/25
  • 『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ

    『世界からバナナがなくなるまえに 糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおして栽培されるからである。それゆえ、「キャベンディッシュバナナはすべて遺伝的に同一であり、スーパーで買うバナナのどれもが、隣に並ぶバナナのクローンなのである」。 だがよく知られているように、そうした遺伝的多様性の低い生物は、天敵などの影響をもろに受けやすい。実際、かつて人々が口にしていたバナナ(グロスミッチェル種)は、「

    『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ
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    trclibgw 2017/07/25
  • 出版業界と同じ構図『誰がアパレルを殺すのか』 - HONZ

    国内の衣料品(アパレル)業界がかつてない不振にあえいでいる。バブル崩壊直後や、リーマンショック後ではなく、なぜ「今」なのか? アベノミクスは一定の成果を上げ、マクロ経済は比較的安定している。にもかかわらず、今になって突如、深刻な不振に見舞われているのはなぜなのか? ということを、川上(生地を生産している企業)から川下(小売店)までを縦断的に取材してその原因を明らかにしたのが著だ。 一番の原因は業界全体に蔓延する「思考停止」にあるという。多くの関係者が、過去の成功体験から抜け切れずに目先の利益にとらわれ、年々先細りして競争力を失っていた。また深刻な「分断」があることも原因の一つだろう。分業体制が進み、川上の企業が、川下で起きていることをほとんど把握していないそうだ。 数字の面を見るとアパレルの国内の市場規模は1991年に15.3兆あったものが、2013年には10.5兆と3分の2に縮小してい

    出版業界と同じ構図『誰がアパレルを殺すのか』 - HONZ
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    trclibgw 2017/06/29
  • 『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい - HONZ

    図書館の創意工夫を100種類紹介する書籍である。子供の頃から図書館につれられ、その工夫にひとり微笑んでいた私のような人間には面白おかしく読めるであるが、他に読者が存在するのだろうか。疑問に思って、書を途中で閉じて、図書館に関する統計データを探ってみた。 2016年時点で公共図書館の数は3,300館弱、専任職員は1万人を超える程度である。他に私設の図書館もあるのだろうが、読者母数としては心細い数字だ。と思っていた矢先、小中高の学校には図書館の設置義務があることを学校図書館法によって定められている。また、大学の図書館も加えると、35,000を超える学校図書館がある。 合計40,000近くある図書館。そこで働く方々を読者の中心の据えた、マニアックだがターゲットが鮮明で、確実に役に立つ書籍である。100連発というタイトルは、ニコニコ学会βの発表企画「研究100連発」をヒントにしている。 図書館

    『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい - HONZ
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    trclibgw 2017/06/26