360年続く稀有で貴重な出版社に乗り込んだHONZ! 大火に見舞われながらも続いてきた版元、その名は「檜書店」。能の謡本を出し続けてきた。江戸時代の大、大、大ベストセラーとなった「謡本」とはどんなものなのか。檜書店の内部にさらに迫ってみよう。久しぶりの出版社訪問レビューは続く。(※前編はこちら) ここで、実際に謡本を見せてもらうことにしよう。 檜 これです。『高砂』の謡本と小謡本です。こういった和綴じ本を今も使っているのは、仏教関係や、邦楽関連、そして、能の謡本くらいだと思います。 H 確かにそうですね。印刷をした和紙を束ねて、右側の部分を糸で手作業で綴る、というものですね。美しいですね。この表紙のマークは……? 檜 これは「観世千鳥」といって、観世大夫が将軍から拝領された、能の面を入れる「面箱」にあった模様です。 H 薄い布が、背の部分についていますね。 檜 「角裂れ」と呼び、本の補強の
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