女性学、ジェンダー研究のパイオニアにして、ベストセラー『おひとりさまの老後』(法研)の著者。上野社会学の集大成となる『ケアの社会学』(太田出版)では、超高齢社会を生き抜く「共助の思想と実践」について説いた。一方、20代の若手社会学者古市憲寿氏との共著『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』(光文社新書)では世代を超えて議論を展開するなど、幅広い年代の人気を博す。 見えにくくなった「死」と「介護」 若者が介護に興味がないのはあたりまえのことです。だってまだ自分の老後のことなんて考えられないでしょう。私も20代の頃は、30代になることさえ夢にも思わなかったし、30代以上の大人など信用ならないと思っていましたから。幸か不幸か日本は今、超高齢社会に突入しました。でも、老いがあたり前になったのに、死や介護は逆に見えにくくなってしまった。病院や施設に送ってしまえばそれっきり。これまで家族の介護は嫁や妻が